大人の吃音者に向いている仕事とは?就職について
こんにちは。臨床心理士のちむです。
今、私は冒頭でご挨拶をしました。
この記事にたどり着いた方は、このような簡単な挨拶でさえ、言葉が出づらく困っているかもしれませんね。(これは書いた文ですが、話し言葉の場合)
その困った症状は、
これまで何度かこの「ちむえき」でもご紹介してきました、吃音(どもり)の可能性があります。
吃音(どもり)についての詳細は以下の記事をご参照ください。
吃音(どもり)とは、言葉が流暢に話せず、詰まってしまったり、言葉が出なかったりする症状があり、日常生活に支障がある状態の事をいいます。
この吃音(どもり)があることで一番困るのは、仕事の場面だと思います。
そしてこれから仕事を探そうとしている方は、自分は仕事や就職ができないのではないか?と不安に感じていらっしゃるのではないでしょうか?
そんな方に読んでいただきたいお話です。
吃音者に仕事の向き不向きはあるの?
自分には何ができるのだろう?
自分を雇ってくれるところはあるのだろうか?
・・と悩まれている吃音者は多いと思います。
そして、その悩みを周囲に話すということもなかなかありません。
それは吃音に対してマイナスなイメージを持っているためです。
ですが、たとえ誰かに相談をしたとしても「大丈夫だよ」「気のし過ぎだよ」「心配性なんじゃないの」などと、真剣に取り合ってもらえなかったり、吃音者自身の心配しすぎる、神経質であるといった心の持ち方の問題にされてしまうこともままあります。
そうすると「自分が悪いのでは・・」という考えを助長させ、相談しづらくなりますから、1人で抱えてしまうことが多くなってしまう、というのがこの吃音者を取り巻く現状ではないでしょうか。
心配のし過ぎかどうかはさておき、心配しすぎるほどにその吃音がなぜ、その人にとってそこまで問題になっているのか?をまず知る必要があります。
(ちょっと遠回りな印象を受けたかもしれませんが、この背景を考える事で、仕事についての不安が多少軽減できると思います。)
吃音は多くの場合、幼少期に発症します。
そして、学童期、青年期などを吃音とともに過ごすわけですが、
最初の頃には、吃音を気にも留めなかった幼少期があったはずです。
しかし、年を重ねるにつれ「自分はどもってしまう、他の人とは違うんだ」「他の人が普通に出来る事を自分はできない」と思ってしまうような体験をすることになります。
そうすると、これまでまったく気にしていなかった吃音(どもり)が突然に前面に出てきます。
学校の友人との会話
授業中に当てられること
クラスの代表委員や日直などの仕事を割り当てられること
部活動での挨拶
先生との会話
・・
学生生活であれば上記は誰もが普通にしていることですが、
吃音がある場合にはこれらが普通にできない、という状態になっていますので大変苦痛です。
何が苦痛かというと、「他の人はやれているのに自分にはできない」
こういう状態ではまるで自分が欠陥品のように思えてくるのです。
つまり、これまで気にも留めていなかったのに、周囲から指摘されたり、不本意に笑われたりすることで、そこに過剰に意識が向き、うまくできない状況が大きく焦点化、クローズアップしてくるため、
自分は人と比べておかしい、できない、欠陥がある
といった認識に陥りがちになるのです。
このような認識の変化によって、自分に自信をつける機会を急速に失っていきます。
- 変だと思われないように、極力目立たないようにしよう
- 誰も自分の話に興味を持ってくれないだろう
- おかしな話し方をする自分なんて、話を聴く相手も煩わしいと感じているに違いない
こんな考えが自然に身に付いてしまい、できるだけ人の目を避けたり、人とコミュニケーションをとることを避けたりしがちになります。
せっかく、代表委員に選ばれたとしても、それを拒否してしまったり
部活動での功績が認められて「部長」という役割を与えられても、その重圧やプレッシャーが強まり、うまくできなくなってしまったかもしれません。
そうして、自分にとって+になるはずの体験をマイナスにしたり、ゼロにすることが増えていき、自分に自信がなくなってしまうのです。
そして、自信をなくすことによる一番のデメリットは、いまある価値すらもマイナスに評価しがちになってしまうことです。
もともとはサッカーが大好きだったのに、人前に出る事を恐れ、自分の価値を低く見積もって、
どうせ自分なんて・・
というネガティブ思考になってしまい、外に出るのも億劫という状態になります。
そうなってしまうと、様々な積極的な行動がなくなり、自分自身にも自分の将来にもネガティブなイメージが強まっていき、自信が削がれていきます。
大切なのは自信を持つこと
自信がない
そのことが、仕事をする上では最もウィークポイントになります。
少し遠回りにお話をしてきましたが、吃音の有る人にとって向いている仕事はあるのか?という点については、実はその人の好み、特性、性格、能力、体力などによって変わってきます。
しかし、選びきれない一番の理由は、吃音のせいではないんですね。
自分に自信が持てない
これが一番大きな要因になってきます。
つまり、向いている仕事というのはそれぞれ個人差があるため一概にはいえないけれど、選べない理由は自信の無さが背景にあるということ です。
こう言うと「もちろん、自信が無いのは問題かもしれないけど、就職活動自体が大変なんだ」という方がいらっしゃいます。
どもってしまうから、最初の面接でつまづくだろう
という意味だと思います。
それでは、実際にどうなのでしょう?
就職活動について
吃音(どもり)があると、就職活動には必ずある面接をクリアできない、
就職するときに吃音は困るんじゃないの?というご意見はもっともだと思います。
実際に、あまりに吃音が重症な場合には接客業や電話応対が中心の業務等の場合ですと仕事に支障を来す恐れがあるため、実際に不利になる可能性があります。
そのため、面接ではそこがポイントになるはずですね。
しかし、吃音が軽度の場合、場面がかなり限定的な場合など、業務に占める吃音症状が出るであろう場面の割合が小さいと考えられるとき。
例えば、プレゼンなど人前ではどもるけど、対個人で話す時は大丈夫というのであれば、それを考慮してもらえるかを確認した上で、自分のスキルを売り込んでいきます。
自信をもって面接者とお話すれば、その熱意や誠意は伝わるはずです。
あなたのその職務能力はぜひウチに欲しい。
と思わせる事ができるようにすることが第一であり、吃音者はあくまでもオプションとして考えるようにすることが大切です。
反対に、吃音をバネにして仕事を探した人もいます。
フリーアナウンサーの小倉智昭さんも、吃音者であることが公表されています。
彼は、吃音を克服する為にアナウンサーを志望したといいます。
今となっては、テレビに映る彼はどもっていません。
リラックスしているような場面、家族といるような場面ではどもることはあるようですから、場面によっては問題があるのでしょう。
でも、恐らく彼は吃音をバネにしながら、仕事として進んで選んでいったわけですね。
吃音のある人がフリーアナウンサーという話す仕事をしているんです。
大切なのは、
自分がどのような仕事をしたいと思っているのか。
どんな仕事が好きなのか?
そういったことを模索して、適性を考えていく事からお勧めしたいです。
まとめ
吃音者にとって、向いている仕事というのは個人によって異なります。
(もちろん、電話対応をするコミュニケーターなど、吃音があっては仕事にならない、という職種は省かざるを得ません)
大切なのは、自信を持って仕事に臨む事。自分にスキルを身につけること。
好きなものを探すこと、です。
吃音克服をバネにしてもいいですね。
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