アルコール飲酒の影響はどうなのか?パニック障害発症のきっかけ
パニック障害とは、誘因の有無にかかわらず、突然動悸や過呼吸に襲われ、まるで死んでしまうのではないかと思われるような発作に見舞われること、そして実際に「死ぬかもしれない」という予期不安を抱えた状態をいいます。
詳しくはこちら→パニック障害で病院受診する時の診断についてと、落ち着く方法(自律訓練法等)を事例から
パニック障害はある日突然、その症状に見舞われるので、驚くことも多いことと思います。
「どうして私が」「何がきっかけなの?」と疑問に感じている方もいらっしゃることでしょう。
今日は、パニック障害のきっかけとして、よく聞く「アルコール、飲酒」とパニック障害の関係を考えていきたいと思います。
まず、アルコールの身体への影響について勉強しましょう。
アルコールの身体への影響
アルコールは、スーパーやコンビニでも売っている手軽に買える嗜好品です。
成人した人なら誰しも一度は口にしたことがあるでしょう。
もちろん、アルコールに対して過敏な方は摂取を控えていると思います。
仕事を始めると、社内・外での付き合いもあり、飲む機会は自然に増えていきますね。
新人にとっては、「場を盛り上げるために飲む」ということもあるでしょう。
このようにアルコールはどこでも身近にあり、すぐに手に入るものであり、「飲みにケーション」は対人関係を円滑にする重要な場面になっているともいえます。
一方、お酒の害についてはご存知でしょうか。
アルコールは、肝臓で分解されます。
しかし、日本人はお酒に弱い体質であることをご存知ですか。
アルコール分解酵素は、個人によって差があリ、強い人もいれば弱い人もいます。
そんな中で、「場を盛り上げる」ために飲酒をしていると、身体にとっては大きな負荷がかかってきます。
というのも、アルコールは血中に溶け出し、肝臓や脳などの臓器を壊します。「肝脂肪」「アルコール性肝硬変」はお酒によって肝臓の細胞が毒害を受け、細胞が死滅していっているのです。
そして、脳もお酒に弱い臓器だと言われています。
アルコール性の認知症という病態も存在します。
よく知られているのは、この二つですが、実は「循環器」「心臓」にも負担をかけています。
一般的には、適度なお酒は身体によいとされ、狭心症や心筋梗塞などといった心臓疾患に対して保護的に働くと言われます。
つまり、適度な飲酒をしたほうが、しないほうよりもより病気になりにくいということです。
適度な量とはどれくらいなのか?
日本人では、ビールなら中ビン1本程度、日本酒なら1合弱だといわれています。
しかし、行き過ぎた飲酒は、血圧の著しい上下変動に関係してくるといいます。
一時的には血圧を下げる効果がありますが、長期的に飲み続けると血圧の上昇を招きます。
国立循環器病センターのホームページでは、飲酒時の日中~夜間は血圧を下げる働きをし、お酒が抜ける頃は上がるというデータを公表しています。
つまり、アルコールが体に入っているときと抜ける時とで、血圧の変動が大きいことがわかります。
また、血圧以外にも不整脈などの病気を引き起こすことが知られています。
というように、お酒を飲むということは、ただ「楽しい」「ハイ」な気分になれるだけではなく、身体へも影響を及ぼしていることを知らなくてはいけません。
また、アルコール摂取は、自律神経における交感神経も刺激すると言われています。
そうすることで、自律神経のバランスが崩れてしまい、動悸などの症状を引き起こすことが考えられます。
パニック障害とアルコールの関係
先に述べたように、特に長期または大量にアルコールを摂取することで身体に様々な(悪い)影響を与えます。
パニック障害と診断された方で、アルコールを多飲していたケースをよく耳にします。
「原因はお酒です」とは言い切れませんが、その影響を知った上で対応をしていくことは必要になるでしょう。
アルコールが血圧や、自律神経に影響を与えることから、循環器において正常なバランスの状態ではなくなってしまう可能性はあります。
パニック障害とは、脳機能障害であると以前にお伝えしました。
詳しくはこちら→パニック障害のチェック項目と改善・治療について
脳機能異常によって、自律神経もアンバランスな働きをし、異常を起こしている状態です。
そこに、アルコールという、さらにバランスを悪化させる物質を取り入れるということは、どうなっていくのか、自ずと理解されることでしょう。
パニック障害の治療中にお酒を飲んでもいいの?
また、パニック障害の診断を受けて、心療内科等から処方されたお薬を服用している場合には、アルコールの摂取は控えたほうが良いと言えます。
お酒と薬物を同時に摂取してしまうと、副作用を強めたり、効果を弱めたりするのです。
また、少量のお酒でも、お薬と一緒に飲むことで、大量飲酒したように酩酊状態を招き、命の危険が生じることもあります。
お酒が大好きだった場合、お酒中心の生活をしていた場合、飲む機会が仕事の都合上非常に多く、断れない場合、など多々ありますが、軽はずみな一杯が危険を伴うことを十分知っておく必要があります。
もしそのような場面でお困りの場合には、一般的は方法ではありますが
- ほかの楽しみをみつける
- 空腹の時間を作らない
- できるだけ一人にならないようにする
- 不安を和らげる方法を探す
などといった対処法を身に着けることが重要になってきます。
不安を紛らわせるためにお酒を飲むこと
パニック障害があるということは、恐らく身体面への不安を感じている状態だと思います。
そして、それによって日常生活に支障が生じている状態であれば尚更不安は増強されるわけです。
このような時には、「お酒で気を紛らわせる」ことが手段になるかもしれません。
しかし、これは悪循環になっていくのです。というのは、お酒は飲むほどに耐性が生じて、「今日は昨日よりも飲まないと酔えない」という状況になります。
いわゆる「お酒に強くなった」というのは、耐性ができあがったということなんですね。
しかし、これはとどまることを知らず、どんどんお酒は増えていきます。
先に述べたような身体への影響のほか、精神面にもダメージを与えます。
アルコールは依存的な物質であり、薬物ともいいます。
アルコールがなくてはやっていけない身体になってしまうのです。
身体の状態を無視して飲み続けるようなことにならないように注意が必要です。
なお、不安感があるとか、不眠があるとかによってお酒を飲むのは、普段リラックスができていない、自律神経のバランスが悪いといったことが問題にある場合があります。
サプリメントを摂る事もお勧めします。
関連する記事はこちら→セロトニンの不足を補うサプリメントはコレ!
お酒の場を断ることができません
パニック障害の方の中には、「お酒の席に誘われて、断ることができない」と仰られる方がいます。
確かに、仕事上の付き合いや行事ごとの席では、周囲から勧められたり、勧められずとも、「みんなが飲んでいるから」といってついつい一緒に飲んでいるという場面があるかもしれません。
お酒の断り方についてはいくつか方法があると思いますが、思いつくものを列挙します。
①まず、お酒が飲めない、アレルギーであるという:初対面の席などでは、お酒を断る口実として一番楽な方法です。
②医者からストップされている:一番効果的なのが、主治医から止められているということ。何も「パニック障害だから」と言わなくてもいいんです。循環器系のお薬をもらっている、とか、睡眠薬を飲んでいるとか、比較的当たり障りのないものを列挙します。
③ハンドルキーパーを買って出る:最近はハンドルキーパーを決めて飲むことが推奨されています。飲まないのであれば、その役を買って出てもいいかもしれませんね。
パニック障害の治療中は、先が見えずに不安になると思います。
ならないという人はいません。
ですが、一進一退を繰り返しながら、マクロ的にはゆっくりと右肩上がりに改善をしていくものです。
抗不安薬や抗うつ薬などのお薬を医師の指導のもとでしっかり服用すること、リラクセーションの方法を身に着けること(リラクセーションについては以下に詳しく→ 自律神経失調症やパニック障害がある人のリラクセーションに、自律訓練を実施する具体的な方法)が大切になってきますので、ぜひ参考になさってみてください。
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