パニック障害(症)のため働けなくなっても、転職してうまくいくためには
パニック障害の特徴は、予期しない突然のパニック発作が起きる事、だといって良いでしょう。
パニック発作についてまず、おさらいしてみます。
A.繰り返される予期しないパニック発作
パニック発作とは、突然激しい恐怖、または強烈な不快感の高まりが数分以内でピークに達し、その時間内に以下の症状のうち4つ(またはそれ以上)が起こる。
(1)動悸、心悸亢進、または心拍数の増加
(2)発汗
(3)身震いまたは震え
(4)息切れ感または息苦しさ
(5)窒息感
(6)胸痛または胸部の不快感
(7)吐気または腹部の不快感
(8)めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ
(9)寒気または熱気
(10)異常感覚
(11)現実感消失、または離人感
(12)抑制力を失うことに対する恐怖
注)3つより少ない症状は「症状限定性の発作」という
このような身体・精神症状が、予期しない形で、コントロールできない形で現れていきます。
パニック障害を患ったことで、よく聞かれる困りごとは「仕事がうまくできなくなった」というものです。
そして、この記事を読んで下さっているあなたも、もしかすると仕事がうまくいかないと悩まれているのではないでしょうか?
それでは、なぜ仕事がうまくいかなくなるのでしょう?
患者さんの声から、考察していきたいと思います。
まず、よく聞かれる問題は、「電車に乗れない」「バスに乗れない」「エレベーターを使えない」といった、移動手段に対する不安です。
最近では、小林麻耶さんがパニック障害によく見られる「電車に乗れない」という悩みをブログで告白されていました。
これは、非常に大きな問題です。
家から職場へ向かうには、何らかの移動手段を利用しなければなりません。
ですから、移動ができない状態では、仕事はできなくなっても仕方がありません。
これは、職場を新たに変えたとしても同じ事であり、この部分については専門家による支援のもと、克服していかなければならない課題であると言えます。
専門家による支援とは、まずは診断を受けて、自分の苦手としている場面を選定しておくこと、さらに薬物療法によって症状の軽減を図る事、認知行動療法を活用し、苦手な課題を減らしていく事が含まれます。
もし、通院できない事情がある、移動手段による行動制限を気にせずに過ごしたいという場合には、在宅での仕事に切り替えていくしか方法がないでしょう。
悲観せずに居て欲しいのは、現在は、就業形態についても変化してきており、介護している方が働きやすいように、室内を改造したり、ということが可能になって来ています。
ただし、外に出られないという問題は、就業だけに限らず、人間関係の幅を狭めてしまいますので、可能であれば治療を進めていく方が建設的です。
次に、働けない理由の一つとしては、周囲の人間関係の課題があげられます。
パニック障害を患ったあとに残るのは、人間関係の問題です。
症状が表に出ている場面では、職場の同僚や友人、家族に何らかの支援をしてもらうことになります。
症状の為に仕事へ行けない時、仕事を休んでいる間を埋めてくれている同僚
車や電車に乗れない時に付き添ってくれる家族
約束をキャンセルされたり、辛い症状について時間をかけて傾聴してくれる友人
このように、少なからず影響を与えてしまうものですが、その症状が落ち着いた時に問題が表出しがちです。
元気になってきたから、気分転換したい
という気持ちになっても、家族に申し訳なくて話を切り出せない、とか
逆に、元気になって来ているのに、これまで穴を埋めていた同僚に対する感謝の言葉が聞かれない、ずっとその仕事を請け負わされたままである
など
患者さん自身が困っているケースと、言葉が足らないことによって周囲が困っているケースとに分かれてきます。
こうなってくると、せっかく心身の調子が改善してきたとしても新たな問題が生じてストレスになってしまいます。
このようなことを防ぐ為に大切なことは、「伝える」ということです。
自分の気持ちを率直に伝え合う姿勢が大切です。
患者さんであれば、「気分転換をしたい」気持ちと「あなたにしてもらったことも感謝している」という気持ちの両方を伝えます。
そして、率直に自分がしたいことを表明するのです。
職場での相手側の不満については、それを知る手がかりがなければ、改善しようがありません。
同僚に対する感謝とともに、「私の分のお仕事、返上していきたいので、何をしたらいい?」といったように、同僚であっても部下であっても、一度指示を仰いでみましょう。
申し訳ない気持ちが強すぎて、言葉にできないまま・・ということもあるかもしれませんが、ここは「勇気」が大切です。
勇気というと、簡単に言ってるけど実際は難しいんだよ!という声が聞こえてきそうですよね。
確かに、言いづらいことを言うのは、本当に気が引けるものですし、その後のお互いの関係などを含めて、言葉にする重みを感じて、色々と考えあぐねてしまいますね。
でもだからこそ。「勇気」がいることなんです。
私自身も、振り返った時に、コトバにする事がいかに大変なことかと日々感じています。
しかし、あなたが声を発することによって、相手にもその思いが伝わりますし、相手の負担感や不満を軽くする事ができるんです。
だからこそ、大事な場面ではぜひコミュニケーションを密にとる姿勢が求められます。
しかしながら、一旦休職をよぎなくされると、最終的に辞めざるを得ないこともありますね。
その場合もぜひ、上記のコミュニケーションを意識してみて下さい。
そうすることで自分に対して自信が保たれるはずです。
退職、転職を繰り返していると、自分に非があるような気がしたり、自分には能力が無いのではないか、と考えたりする場合があります。
それは、辞めるに至った経緯において、やり残しがあったからです。
こうすれば良かった
こうだったのかもしれない
自分には対処できる能力がない(対処してこなかった)
きっと良く思われていないに違いない
これらは、相手にどう思われているかや、相手のことを(確認していないが)こうに違いない、といった推測の域にあることが多いです。
この場合は辞める時に自分の思いを伝えきれていなかったり、仕事上での行き違いがあったり、しっかりとコミュニケーションがとれていなかった場合が多いです。
ですから、上記にあるように、家族や同僚、友人へ自分の言葉できちんとお伝えすること。
そうすれば、次のチャレンジでも自信をもって望む事ができます。
そして転職後に気をつけることは、ストレスを溜めないように気をつけることです。
生活リズムを整える
過度な残業をしない
仕事の量や質、ともに過剰にならないようにする
相談できる相手をもつ
続いている投薬治療はきちんと通院を続ける
こういったことに気をつけながら、心身のストレスを減らす努力をしましょう。
これらの微調整は、すぐに大きな結果とならないかもしれませんが、身体への負担がゆっくりと軽くなっていきますので、長期的には良い効果があります。
最後に重要なこととしては、パニック発作に慣れること、パニック発作に対する不安を軽減するような心理療法を実践し、パニック障害の理解を深め、症状を軽減する努力をしていきましょう。
職場を変えた際、症状には動揺が起きる事があります。
症状がひどくなったり、逆に突然消失したかのように見えたりします。
しかし、一度見えなくなったからといって、再燃しないとは限りません。
しっかりと治療を継続すること、意識する事によってのみ、軽減が図られ、克服に繋がります。
長い目でじっくりと対処していきましょう。
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