人混みや満員電車には周りの人が気になって恐くて乗れない。パニック障害に対して自分でできる対処とは?
パニック障害がある場合、よく聞かれる困りごとに満員電車が恐い、人混みが恐い、ということがあります。
この問題は、仕事も含めて日常生活に支障を来すため、患者さんは非常に困ってしまう問題です。
それではこの問題にどのように対処をしていけば良いのか?
一緒にみていきましょう!
パニック障害を簡単に
最初に、パニック障害についておさらいしていきましょう。
パニック障害とは、予期しないパニック発作を繰り返し起こすものです。
パニック発作は、動悸・息切れ・めまい・心臓が止まってしまうような感覚・離人感・嘔吐や嘔気などの症状が現れることですが、その発作がある特定の場面と結びつくことで、その場面、状況を回避しようとする傾向が見られます。
詳しくは、「パニック障害による症状の原因と対策について」の記事を参照ください。
この障害の特徴は、突然予期せずに発作が起きてしまうため、本人もコントロール感がなく、「いつ起こるだろう」と不安になってしまうことです。
パニック障害でなぜ人混みが恐いのか?・・広場恐怖
パニック障害になると、広場恐怖という状態が一緒に起きやすくなります。
広場恐怖とは何かというと、以前にパニック発作が起きた場所や状況を回避してしまうことを言います。
ある公的な場、例えば駅のホームや電車、エレベーター内、飛行機、車など公の場でよく起きます。
ただ、これまでの研究から、患者さんはすぐに公的な場に恐怖を感じる訳ではないと言われています。
まず最初に生じるのは、場面に関わらずパニック発作そのものに対する恐怖です。
「パニック発作が起きるのではないか」
「パニック発作が起きたら、死んでしまうのではないか」
こういった不安や恐怖を感じているわけです。
一方で、ある人たちはその発作を一時的なもの、重要ではないものとして、症状が遷延化したり、重症化することなく経過します。
パニック発作は誰にでも起きる可能性がある症状です。
ですが、その症状をどう受け止めているかによって問題にならずに、パニック障害に発展せずにすんでいる人が多いです。
最後に、その発作がおきた場面に関連づけて症状が重症化したり、その状況や場面を避けるようになるグループもいるのです。
このグループが広場恐怖を伴ったパニック障害の人であると言えます。
このことから言えるのは、広場恐怖が非常に個人差のあるものだということです。
広場恐怖に特徴的な場面とは、
動き出した電車のように、逃げたくても逃げられないような場所や状況であること
人に見られてしまって、恥ずかしい思いをするような場所や状況
または反対に
車内などの発作が起きた時に誰も助けられないような場所や状況
が挙げられます。
パニック障害(発作) = 人混みが恐い とはならないのですが、そのように関連付けられているグループは、人混みが恐い、満員電車が恐い・・ということになります。
さて、それではなぜこのように特定の場面や状況に関連付けられるグループがいるのでしょう?
それは、予期不安や条件付けと関係しています。
予期不安とは、まだ何も起きていないにもかかわらず、
「電車が走り出したらもう逃げられない。もしかするとここで発作がまた起きるかもしれない」とか、「人混みに入ったら発作が起きるかもしれない」
といったような、不安を抱えることです。
予期不安があると、発作の徴候があってもなくても、パニック発作を起こしやすくしてしまいます。
次に条件付けとは、物事を学習する手段になります。
例えば、お腹が空いている時にカレーライスを見たらつばが分泌されます。
もし、カレーライスを食べた事がない人は唾液が分泌されることはありません。
私たちがカレーライスを食べたという経験によって学習し、唾液を分泌するという生理的な反応を起こすのです。
パニック発作でいうと、例えばバスに乗っている時やエレベーターの中にいるとき等、ある一定の場面や状況にいる時と発作が同時に起きた場合、その状況が刺激となって動悸や発汗などの生理的な反応が生まれます。
このように、満員電車に乗るということを想像する、電車に乗る、というだけで刺激となって、パニック発作が起きる可能性があります。
このような心理学的な背景があるため、パニック発作と広場恐怖が合併してしまうことになります。
そして広場恐怖が重症になると、外出ができない、出勤ができない、といった不都合が生じてきます。
何かしらの対策はないものでしょうか?
広場恐怖にはどう対処すれば良いか
広場恐怖へ対処するには、まず予期不安と条件付けを解消する事が大切になります。
その方法は、暴露療法が有効です。
関連する記事はこちらから→「苦しいパニック障害を悪化させずに取り除く暴露療法とは」
暴露療法は、あえて回避している場面や状況に身をさらす事で、「発作が起きない」経験をしたり、「発作に慣れる」ようにしていきます。
まず、発作が起きない体験というのは、予期不安を解消するためにやります。
予期不安は発作が起きるかもしれないといって、その場面を回避する原因になります。
そのことで一時的に症状は良くなったように見えますが、これは治療的ではありません。
パニック発作やパニック障害を治療したいと考えるなら、その場面を回避していてはいけないのですね。
実は発作が起きない時もあるんだと、客観視ができるようになることで、症状が悪化したり遷延化することを防いでいきます。
また、発作に慣れるというのは、発作が起きた時には「死んでしまうかもしれない」と直感的に思うわけですが、実際には死なないのですね。
ですから、発作が起きても大丈夫 ということを体験することによって、発作への強い恐怖や不安も和らぎますし、条件付けられた不安も軽減していきます。
こういったことを通して、パニック障害や広場恐怖を治療していきます。
ただし、これは非常に荒療治になります。
1人で実施する時に症状を悪化させることもありますので、専門家に指示を仰ぐのが適切でしょう。
発作が起きてしまった時はどうすればいいの?
次に発作が起きてしまったらどうすれば良いか?
すでに発作が起きている状況では、まずその症状を軽くすることが大切になります。
私がお勧めするのは、
- 呼吸を整える
- 呼吸法/リラクセーションを実施する
- アロマを利用する
です。
呼吸を整えるというのは、発作が起きている時には多くの場合、過呼吸状態になっています。
過呼吸を整えることで症状が悪化するのを防ぐ事ができます。
次に、呼吸法/リラクセーションを実践する ですが、自律訓練や瞑想を通して身体全体をリラックスさせることは有効です。
自律訓練に関する記事はこちら→「自律神経失調症やパニック障害がある人のリラクセーションに、自律訓練を実施する具体的な方法」
瞑想に関する記事はこちら→「瞑想を使うとパニック障害やうつ病等に伴う不安もイライラも楽になる!」
日頃から、副交感神経を優位にする方法を身につけておく事をお勧めします。
最後に、即効性のある方法としてはアロマがあります。
アロマオイルを垂らしたハンカチを常に持っておき、不安になった時にハンカチを少しかいでみて下さい。
そうすると少しリラックスできたり、深い呼吸ができたりします。
アロマオイルは、ジュニパーベリーは不安を取り除く事ができます。
ラベンダーは、万能なアロマオイルとして有名です。
深い呼吸を促し、心身の緊張をほぐすと言われています。
また、フランキンセンスも非常に使いやすい精油です。
フランキンセンスは瞑想やヨガのクラスでも使われることがある精油です。
高い鎮静作用が有ると言われていて、呼吸を深くし、気持ちを落ち着かせます。
自律神経にも作用するといわれていますので、パニック発作でお悩みの方にぜひお勧めしたい精油です。
選び方ですが、やはり生に香りをかいでみて決めるのが良いと言われていますので、効能を確認しながら、雑貨屋さんで実際にかいでみて、好きなにおいを選んでみる事をお勧めします。
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