パニック障害が繰り返し起こるメカニズムとは?自律神経や予期不安との関係を丁寧に解説
パニック障害は、体験したことのない人から見ると、命に関わる病気でないということで簡単に考えてしまいますが、日常生活を狭め、重症になれば普通に暮らしていく事ができなくなってしまう恐い病気です。
しかし、しっかりとそのメカニズムや対処法を理解していれば、乗り越えていける問題でもあります。
まずパニック障害で困っているのならば、理解を深めることから始めましょう。
それでは最初にパニック障害についておさらいしていきます。
パニック障害とは
パニック障害とは、予期しないパニック発作を繰り返し起こすものです。
パニック発作は、動悸・息切れ・めまい・心臓が止まってしまうような感覚・離人感・嘔吐や嘔気などの症状が現れることですが、その発作がある特定の場面と結びつくことで、その場面、状況を回避しようとする傾向が見られます。
詳しくは、「パニック障害による症状の原因と対策について」の記事を参照ください。
この障害の特徴は、突然予期せずに発作が起きてしまうため、本人もコントロール感がなく、「いつ起こるだろう」と不安になってしまうことです。
後述しますが、
パニック発作が起こるメカニズム
それではパニック発作とはどのようにして起きるのでしょうか?
パニック発作は、ストレスから影響をうけて生じやすくなると言われています。
ストレスは誰にでもかかってくるものであり、身近な存在と言えますが、自覚しづらいため、「自分には関係がない」と考えてしまいがちです。
しかし、結婚や昇進、妊娠や出産などの非常にポジティブなイベントについても心理的なストレッサーとなると言われています。
ネガティブなものでは、両親や配偶者との不仲、仕事上の対人関係、経済的な問題、仕事のプレッシャーなどがあげられるでしょう。
なぜ人はネガティブなイベントだけでなく、ポジティブなイベントに対してもストレッサーとして感じてしまうのでしょうか?
実はこれに共通しているのは、「環境の変化」という点なのです。
ストレスとは、つまり環境が変化したときに感じられるものだと言えます。
結婚すると、住む場所が変わったり、他人と一緒に住むことになります。
妊娠や出産によっては身体的な変化や痛み、また出産後には家族が一人増えるため、新しい生活環境下でなんとか毎日を過ごしていかなければなりません。
昇進については、行う仕事内容のほか、責任の範囲が広がり、仕事をしていない休日の時間帯においても仕事のことを考えてしまうかもしれません。
このように、イベントが起きたことによって自分の周りの環境が変化し、その変化に私たちが慣れて、適応していかなくてはいけません。
ストレスを受けるというのは、環境変化に適応する事と同義といっていいでしょう。
話を戻しまして、ネガティブなイベントにはどのようなものがあるかと言うと、長時間労働や劣悪環境下での労働、過労、病気、生活リズムの乱れ、アルコールの多飲などの身体的なストレスからも影響を受けます。
これらのストレスに呼応して、私たちは不安感情を生じます。
ストレスにさらされ、不安感が引き起こされると生理的にパニック発作が起きやすい状態になります。
ただ、誰もがストレスを感じるイベントがありますが、誰もがパニック障害にかかるわけではありません。
パニック障害になる理由は明確ではありませんが、一つは自分が処理できるストレスの量を超えて、多かった可能性があります。
誰もがストレス対処能力を持ち合わせていますが、その処理能力や容量には差がありますので、その人の処理能力を超えて、ストレスが発生する状態になると、発作が起きやすい状態になります。
また、こういった発作が起きた時に、それに対してクヨクヨしたり、過剰に不安になったりするような性格の方はストレスに対して敏感になっているので、他の人よりもパニック発作が起きやすいと言えるかもしれません。
自律神経との関係
神経のシステムは、大きく二つに分かれています。
1.中枢神経
2.末梢神経系 です。
1.中枢神経系:脳と脊髄が関与する神経ネットワークを総合的にコントロールしています。歩く、手を動かす、といった指令を出すのも中枢神経です。
2.末梢神経系:神経線維を通して体の各器官と様々な連絡・情報交換を行っています。
そして
2.末梢神経系は、以下の二つの神経系から成っています。
(1)自律神経
(2)体性神経
働きは以下の通りです。
(1)自律神経
自分の意思とは関係なく、身体の機能を調整している神経。
(a)交感神経 鼓動を早める、消化液の分泌促進 など、人が活動する時に必要な働きを担当している
(b)副交感神経 鼓動をゆっくりに、消化液の減少など、エネルギーの消費を抑える働きを担当している
(2)体性神経
情報を脳に伝え、身体の各部分を意識的に動かすための神経。
(a)運動神経 手や足、口などの器官の働きを管理
(b)感覚神経 見たり聞いたりした情報、痛みなどの皮膚感覚を脳に伝える
上記を見て頂ければお分かりのように、自律神経は神経システムの中で、抹消神経系の下位に位置していて、交感神経と副交感神経とに分かれています。
そして、自律神経系はお互いに拮抗して働き、生体の恒常性を維持しています。
交感神経は、覚醒時、強い恐怖や不安を感じたとき、自分の身に危険が生じている時に働く神経系です。
逆に副交感神経は、睡眠時、リラックスしている時に働く神経系で、環境からの刺激や時間帯等によって、活動したり、休んだりを繰り返すことで自分自身のエネルギーが消耗しないようにしており、全体のバランスが崩れないように調整されています。
これを、ホメオスターシスの維持といいます。
以下、わかりやすいように例をあげます。
交感神経が働く活動の例
テニス、マラソン、野球、短距離走 等々 スポーツをすると、鼓動が早くなる
→スポーツによって消費された筋肉の酸素を補うため、自律神経が鼓動を早くさせる。
→運動によって上昇した体温を下げるために発汗させる
副交感神経の働く活動の例
寒くなると鳥肌が立つ
→寒い時は毛穴が閉じ、熱エネルギーの消耗を減少させる
このような形で、自律神経はお互いに拮抗して、生体のエネルギーが過剰に消耗されないようにして、生体を維持しています。
自律神経が乱れるとどのような症状が起きてくるのか。
これには個人差があります。
全身的な症状が現れる場合もあれば、器官に現れる場合もあり、また精神症状として現れる場合も見られます。
症状は千差万別といっていいでしょう。
(1)身体症状としては:身体の各部位に症状が認められる
頭痛/腹痛/肩こり/腰痛/手足のしびれ/顔のほてり/動悸/息切れ/めまい/下痢/便秘 など
(2)全身的症状
倦怠感や、食欲不振、発熱、不眠 など
(3)精神的な症状
不安感、落ち込み、イライラ、焦燥感、集中力の低下、など
上記のような症状が単発の場合もありますし、組み合わさる場合もあります。
人は自律神経である交感神経と副交感神経の二つの神経を使い分けて、置かれた状況に適した身体のコンディションを作ります。
この二つの神経がバランスをとって拮抗し、エネルギーの消耗と休息をくりかえしています。
パニック障害になると、この自律神経のバランスが崩れた状態になります。
すなわち、交感神経が優位となって、何でもない時に動悸がしたり、発汗が現れたりします。
自律神経のコントロールがうまくできずに、発作が突然に現れるようになります。
予期不安があると発作が繰り返しやすい
パニック発作がコントロール不能であり、「いつ起こるのかわからない」という状態になると、人は「また発作が起きるかもしれない」と不安になります。
この不安を予期不安といいます。
予期不安は、「電車に乗ったら発作がおきるかもしれない」「部屋から出ると発作が起きるかもしれない」と過剰にアンテナを張り巡らせている状態になっています。
そうすると、軽微な身体的な変化に対しても過剰に反応することになります。
「今のは発作の徴候かもしれない」
といって、過敏に反応するのです。
そうすることによって、発作はより起きやすくなります。
また、発作が繰り返し起きやすい状態になっていると言えます。
このような自律神経を整えるためには、様々な切り口から手だてを考えることができます。
整体のプロがお勧めしているプログラムや、医師が実際に患者さんにお勧めしているサプリメントなどがあります。
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