【こどもの心身症の原因と対処について】心身症と神経症の診断の違いとは?
GWが明け、日常生活も落ち着きを見せ始めたこの頃・・。
子育てをしているお母さんは、特にこの時期のこどもの様子は気になりませんか?
私も、保育園に通う娘がいます。
進級や進学、入学して、緊張した数日が過ぎ、少しずつ慣れてきた頃ですよね。
そして、ワーキングマザーであれば猶更、ご自身も新しい環境に置かれ、自分のことも慌ただしい時期です。
このような時期に限って・・といいますか、だからこそ、といいますか、こどもが体調を崩してしまうことがあります。
- 微熱が続く
- 腹痛が治まらない
- めまいがする
- 動悸がする
- 起きられない
- 学校へ行きたくない etc
こんな慌ただしく、時間もない時に限って、こどもは訴えてきますよね。
しかし、ただの体調不調ではないことがあります。
だからこそ、向き合って話を聞いてあげるといいです。
- 体調の不調が続く
- 学校へ行きたくないという
- 食欲が無い
- 元気がない
- 学校での話をしなくなった
このようなちょっとした変化をとらえてあげることはとても大切です。
子どもは、自分の考えや気持ちを言語化することがまだうまくできません。
自分が不快な思いをしていたり、つらい感情を抱えていたり、いじめを受けていたり、そんな場合に説明をできる子は少数です。
なんらかのサインを出していますので、それをキャッチして対応してあげることが必要です。
(こちらもご参照ください→心身症になりやすい人の特徴とは?過剰適応・アレキシサイミアと心身症の関係)
今日は、子どもにも見られる心身症について解説します。
その前に、心身症と神経症と、違う診断名を付けられることがあり混乱することもあると思います。
これらの違いや病気の原因について考えていきたいと思います。
心身症と神経症の違いについて
いくつか病院を回った方はご経験があるかもしれません。
病名に「心身症」とついたり、「神経症」とついたりして、この二つはどんな違いがあるの?ということ、ありませんでしたか。
まず、神経症について解説していきましょう。
神経症とは、精神的な問題によって生じる精神的な病の一つです。「心身症」と違い、身体の病気を軸としていません。いくつかあげていきましょう。
不安神経症、心気症、強迫神経症、恐怖症、ヒステリー、離人症、抑うつ神経症 などをあげることができます。
神経症という表記は、DSM-Ⅲの変更時からなくなりました。
たとえば、不安神経症は、不安障害。ヒステリーは身体表現性障害、抑うつ神経症はうつ病 といった具合です。
心身症は、心理・精神的な問題が影響して、身体に器質的、機能的な問題を起こします。
たとえば、胃潰瘍は器質的な問題ですし、過敏性腸症候群は機能の問題となります。
病名が変わったという体験をされた方は、恐らく、精神的な問題に焦点化された場合に「神経症」と診断されたかもしれません。
抑うつ気分の強い方が、会社のストレスを抱えていて、胃潰瘍を何度も起こしているような場合、胃潰瘍は恐らく精神的な問題が影響しているので、心身症と診断できます。
しかし、治療するのは抑うつ気分であるため、「(今ではうつ、感情障害と表記されますが)DSMの変更前に受診をしていたり、医師によっては好んで神経症の病名を使用する先生もおられるので、「抑うつ神経症」と診断するわけです。
つまり、同じ状態を違う角度からみているわけですね。
子どもの心身症
お子さんの身体的な問題に対して勉強していると、心身症という名称と出会ったことがなく、これまでで初めて聞いた方もいらっしゃるかもしれません。
心身症については、過去の記事をご参照ください
各ライフステージに沿って、心理社会的な背景も異なってくるため、症状の出方も様々です。
現代では、大人だけでなく、心身の問題がある子供が増えていると言われます。
その背景には、核家族化した親子の密着関係があげられます。
祖父母、親、子どもとが共同で生活していた以前は、それぞれの家族個人個人が向けるエネルギーは分散されていました。
以前は、嫁姑との関係、嫁舅の関係、親兄弟との関係、夫婦の関係など、家庭の中でたくさんの交流が生まれていました。
そのころには、一人にむけるべきエネルギーや感情が必然的に少なくなります。
考えてみればわかりますが、関わる人が増えるほど、その人に対して向ける感情は時間と比例して減っていきます。
そうすると、例えば母親が子供に対して感じている感情は薄まります。
以前であれば親の期待は、その子だけに向けられるわけではないので、「とりあえず健康でいてくれれば」「とりあえず、学校は卒業して」というように、軽いものだったわけです。
しかし、一人っ子も増えた現代では、こどもへの親の情熱は過剰になり、かかわりも過剰になります。
- 「娘にはもっとお手伝いをしてほしい」
- 「良い子になってほしい」
- 「成績をよくして、良い学校へ行ってほしい」
というようになるわけです。
こうして、親子間での交流が密になり過ぎると、うまくいかずに衝突したり、親の期待を背負いすぎた子供は症状を表してきたりします。
こどもの病気は、家庭内の問題を暗に表すことが多いものです。
以前、私が相談支援をした中学生A子さんの話をしましょう。
彼女は、とても両親思いで、兄弟思いで、優しく気遣いのできる子でした。
ある時、パニック障害になり、日常生活に支障を生じ始め不登校がちとなりました。
そのころちょうど、両親が不仲で、母親からいつも相談されていたA子さん。
そして、母親が体調不良を理由に家事を休みがちになっていました。
A子さんは家事をずっと手伝っていました。
家事を手伝わなければ、両親はまた喧嘩をし、家の中がぎくしゃくするわけです。
A子さんへカウンセリングを行っていくと、親をいたわりたい、両親に仲良くやってほしいという思いのほかに、「もっと自分だって楽しみたい」「もっと学生らしく過ごしたい」「自分だって、自分の勉強をやりたい」という感情が現れ始めました。
彼女はこれまでずっと、両親から「いい子でいるように」「親の助けをするように」とのメッセージを受け取って生活してきたのです。
カウンセリングを受けることで、自分の本来の感情に気づき、自分のしたいことをするようになりました。
たとえば、
- 「いつも家事をするわけにはいかない」
- 「勉強の時間がほしい」
- 「友人と遊ぶ時間が欲しい」
- 「喧嘩をするのは両親の問題であり、自分には責任がない」
そうすることで、両親も彼女の変化に驚きつつも、彼女の意見を受け入れていきました
その後、彼女は症状をみせることは無くなったのです。
カウンセリングの間、彼女は「親を傷つけてしまう」「申し訳ない」「私のせいで両親が喧嘩になる」といった感情と戦っていました。
そしてその背景には、「親に嫌われたくない」と思っていたわけです。
無条件で愛されるはずの子どもが、「いい子でいなければ、愛されない」という条件付きの愛情を注がれてきたのです。
それに気づいた彼女は、あっという間に精神的に成熟し、行きたい高校を選び、親元を離れていきました。
親の気持ちとしては不満足かもしれません。
愛情を満たしてくれる子供がいなくなったわけですから。
ただ、自分の人生を生きられず、苦しんだり、病気になる子供をみたい親はいないはずです。
今回、パニック障害の例をあげましたが、心身症も同じようなことが背景にあります。
ぜひ、家庭でできることを考えてあげるといいと思います。
そして、親も親の人生をちゃんと歩むといいと思います。
子供がそばにいる人生しか見えてない場合には、子どもには圧迫感を与えてしまいますし、ライフサイクルの段階で子が巣立つときに、喪失感が強くなってしまいます。
ぜひ、こどものことだけでなく、自分の人生もしっかり見つめて、自分の時間も大切にするようにしてみましょう。
まとめ
神経症と心身症の違いは、同じ現象を違う角度からみているにすぎない
子どもの心身症の場合には、親子関係を見直す必要がある
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