心身症とは?その診断と症状、治療まで

gimon

心身症とは何か?

一般的にはあまり聞きなれない病名かもしれません。

しかし、よく聞くのが「ストレス性胃炎って言われた」「昇進したのはいいが、胃潰瘍になってしまった」「ストレスで血圧が上がった」 などなど、ストレスから起因する体の病気です。

心身症とは、簡単に言うとストレスの影響を受けて、身体的な病気になっている状態を指します。

上記でいうなら、胃潰瘍や本態性高血圧、ストレス性胃炎 などは皆、心身症の種類ということになります。

「じゃあ、胃潰瘍になったらみんな心身症?」

それは違います。

身体の病気になったからといって、全てがストレスによるものではありませんから、実際に心理的な問題に起因して病気になったことが明確なものが、心身症といいます。

それでは今日は心身症が起きるメカニズム、様々な症状と診断、治療の一部をお話したいと思います。

どうして心身症になるのか

過呼吸女性

心の問題が、なぜ、身体症状として現れてくるのかを見ていきましょう。実はこころとからだは深く関係しています。

「不安」「緊張」「抑うつ気分」などの人の気分や、その処理の仕方によって、様々な身体症状がもたらされるといいます。

例えば、腰痛や頭痛、腹痛、etc。

よく例としてあげられるのが、虚血性心疾患です。

心筋梗塞などの病気になりやすい性格というのがあるのです。

仕事が大好きでワーカーホリック、いつも精力的、ともすると攻撃的な人は「タイプA行動パターンをしている人」とされ、そうでない人に比べて心筋梗塞などの虚血性心疾患を起こしやすいと言われています。

さらにまた、心身症患者に多いのは、「アレキシサイミア(alexithymia)」といわれるタイプの人。

自分の感情に気づきにくく、言語化が乏しいことが特徴です。

ご主人を亡くされた方に「ずいぶん落ち込んだでしょう」と話しかけると「そんなに落ち込みませんでした」など、実際には喪失感を感じているはずなのに、何らかの理由で自分の気持ちを感じることにブレーキがかかっている状態です。

もう一つ、心身症になりやすいタイプは「アレキシソミア(alexisomia)」と言われるタイプの人で、身体感覚への気づきが乏しい人のことをいいます。

例えば、面接行く前に「緊張してる?」と聞いても、自分の身体の微妙な変化や調子が分からず、身体の状態を意識したことがない、意識しようとしない人です。

このような人も心身症になりやすいと言われています。

心身相関のメカニズム

ヨガ女性(画像)

なぜ心の問題が体に影響を及ぼすのか?研究が進められて、現在わかっているのは「神経-内分泌-免疫」の3つの系の協調機能が関与していることがわかってきました。

この3つの系統は、各種ホルモン、アドレナリン・ノルアドレナリン・ドパミン・セロトニン・アセチルコリン・エンケファリンなどの神経伝達物質、サイトカイン などの共通する神経伝達物質があります。

生体は、環境の状況に関わらず体温や血圧などの内部環境を一定範囲に保つ機能があり、これを恒常性・ホメオスターシスといいます。

これは、脳内の「視床下部」を中心とする自律神経系や内分泌系の働きによって行われています。

各種伝達物質が相互に作用することによって、体内のホメオスターシスが維持されることになります。

中枢神経と心身相関

癒しイメージ(画像)

大脳は、大脳皮質-大脳辺縁系-大脳基底核からなっています。

辺縁系は、感情の発現に関わる部位でもあるし、「摂食行為、性行動、睡眠」などの本能行動とも関係します。

さらに、自律神経系の高位中枢でもあると言います。

辺縁系の一部である海馬は有名ですが、海馬は「記憶」をつかさどる部分で、ストレスに弱い部分とも言われます。

強いストレスにさらされると、海馬が委縮する(機能が低下する、細胞が死滅する)といい、記憶障害が起こります。

また、強い不安や恐怖を伴って記憶された情動体験は、あとに身体症状を伴って現れることがあるのです。

身体症状との関連については、先の「視床下部」が、自律神経系や内分泌系への指令中枢であり、辺縁系が体験した情動を身体反応や行動に置き換える作業を行っていて、精神と身体をつなぐ場所であるともいえます

これが、心身相関の根拠ともいえるでしょう。

心身症の症状、診断について

医師(画像)

心身症とはどういったものをいうのか。

いくつかの例をあげます。

  • 神経系の病気:緊張性頭痛、片頭痛、自律神経失調症
  • 循環器系の病気:本態性高血圧、虚血性心疾患、不整脈
  • 消化器系の病気:機能性胃腸症、消化性潰瘍、食道機能異常症、過敏性腸症候群
  • 内分泌・代謝系の病気:バセドウ病、愛情遮断性小人症、糖尿病
  • 呼吸器系の病気:過換気症候群、神経性咳嗽、気管支ぜんそく
  • 免疫系の病気:慢性関節リウマチ

上記のような病気は、心理的問題が発症に起因している場合がよく見られます。

もし診断を受けた場合には、解決すべき「心理的問題」を抱えていないかどうか、確認が必要です。

そして、一般身体科では、「心身症」という病名をつけることはなかなかありません。

主治医が患者さんと向き合って、「心理的問題」に気づいた場合、また何らかの治療の方法について手持ちの「カード」がある場合には、病名を付けることがあるでしょう。

ですから、一番はご自身で気づくことが大切です。

気づいたときには何科に行けばいいの

カルテと聴診器

身体症状に関連する心の問題に気づいた時には、一般身体科(内科、外科など)を受診します。

そして、そのかかりつけの医師が対応できないのであれば、心療内科を標榜している病院を受診すると良いでしょう。

心身症の治療

胸を開く

心身症の治療は、様々な方法が提案されています。

身体の緊張状態をほぐすことが目的に治療法が多いように感じられますが、いくつか紹介します。

バイオフィードバックという方法は、身体に筋電図や皮膚温などの生理的指標をとりながら、どのようにすれば自分の身体がリラックスできるのかを生理学的な指標を通して、理解することができます。

バイオフィードバックと同様な効果が得られる方法として、より簡便に実施できる方法は、「自律訓練法」と言われるものです。

自律訓練法は、心身症のほか、睡眠障害や不安障害など様々な対象に応用されており、副作用もそれほどなく使いやすい方法です。

まず、背もたれにもたれたり、横になるなどして、リラックスした状態を作ります。眼を閉じて、深呼吸を行います。

その後、背景公式と言われる言葉を自分自身で暗唱します。

背景公式:「気持ちが落ち着いている。気持ちが落ち着いている」

ゆったりと構えて、背景公式を頭の中でゆっくり反芻します。

そして、気持ちが落ち着くといいなという気持ちでいてください。

この時、無理に落ち着かせようとする必要はありません。

これは、安静練習とも呼ばれ、心を穏やかに落ち着いていられるようにすることを目的にした公式です。

第1公式:「両腕・両足が重たい」

重感練習ともいいます。重たい感じを感じる(筋肉を弛緩させる)練習です。

気持ちが落ち着いている、の公式の後、今度は「両腕、両足が重たい」「両腕、両足が重たい」という言葉を頭の中で反芻します。

これも無理に行うのではなく、「重たくなるといいな」という程度の気持ちで身体に意識を向けながら行ってください。

数分、これを繰り返し、重感が得られるようになったら、次の第2公式へ移ります、、。

終了後、手をグーパーして、背伸びをするなどして、身体を「起こして」終了です。

このような流れで、自律訓練を実施します。

一日に2〜4回行い、更に日記をつけていくことで、身体の変化も合わせて鋭敏に感じることができます。

簡単な方法ですから、ぜひ試してみてください。

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参考文献

吾郷晋浩・河野友信・末松弘行 2005 臨床心身医学テキスト 三輪書店
松岡洋一・松岡素子 2009 自立訓練法 日本評論社

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