心身症とは?その定義と克服の方法を丁寧に解説

teigi

現在身体の病気の治療をしているあなた、もしかしたらそれは心身症かもしれません。

「心身症って心の病気でしょう?身体の病気とは関係ないんじゃないの?」と思われたかもしれませんが、

実は心の問題が体の病気に大きく影響を及ぼすことがあります。

それが、心身症です。今日は、心身症について理解を深めていきましょう。

心身症とその原因とは

疲労女性

心身症とは、何らかの環境からのストレスにさらされた時に、そのストレスに対処できる水準を超えてしまった時に出てくる身体的な病気のことを指します。

人を取り巻く環境においては、どうしても人はストレスにさらされてしまいます。

ストレスに対処できる能力は人によって個人差があります。

対人関係ストレスに弱い方がいれば、対人関係ストレスには強いけれども生活環境などの物理的なストレスに弱いという方もいらっしゃいます。

ストレスに耐えられる強度と種類は様々なのです。

そのような中で、その人がストレス対処の閾値を超えてしまった場合、様々な形でストレス反応が起こります。

例えば、イライラする、不登校になる、お酒の量が増える、落ち込むなどというように心理面や行動面に出る場合もありますし、直接身体反応として、血圧の上昇や腹痛などに影響が起こる場合もあります。

そして、その身体的な症状が病気まで進展してしまうと心身症になってしまうのです。

例えば、筋緊張性頭痛は心身症になりえる病気として挙げられています。

筋緊張性頭痛は、頚部のコリなどによって血流状態が悪くなったというような機能的な変化によってのみ生じるのであれば、心身症的な要素は薄いのですが、例えば仕事で緊張した場面の前後にばかり生じるのであれば、心理的な問題が大きく影響を及ぼしていると考えられ、心身症の要素が強いと言えます。

このように、同じ病気であっても、その背景によって心身症として治療が奏功するものもありますし、そうでないものもある、というわけです。

もし、以下の条件が当てはまっているとすれば、あなたの抱える身体疾患が心理的な影響を及ぼしている(心身相関)、つまり心身症の可能性が強いと考えられます。
1.愁訴が多く、訴えがくどい

2.症状が入院で軽快し、退院で増悪する

3.暗示や情動ストレッサーなどによる心理的条件付けで症状が出現したり、変化したりする

4.同一薬物による治療効果の不安定性

5.薬物依存や生活習慣に歪みがある

6.ストレスフルな生活環境にある

7.自我が未熟である

8.タイプA行動性格やアレキシサイミアである

9.既往歴に神経症や心身症がある

身体症状の特徴

赤ちゃん(画像)

心身症は、それぞれのライフステージに起こりやすい病気があります。

乳児期 発熱、夜泣き、言葉の遅れ、不機嫌、情緒不安定

幼児期 夜尿症、 指しゃぶり、爪噛み、夜驚症、周期性嘔吐、心因性腹痛、自信の欠如、消極性、攻撃性、自己中心性

学童期 過敏性腸症候群、起立性調整障害、緊張型頭痛、心因性視力障がい、小児喘息、アトピー性皮膚炎、チック、言葉の遅れ、吃音、不登校

思春期・青年期 摂食障害、過敏性腸症候群、過換気症候群、パニック障害、気管支喘息、心因性嘔吐症、偏頭痛、消化性潰瘍、不登校、不安障害

成人期 生活習慣病(糖尿病、虚血性心疾患、本態性高血圧症、高脂血症、肥満症、慢性膵炎など)、消化性潰瘍、自律神経失調症、更年期障害、気分障害、アルコール依存症

老年期 気管支喘息、更年期障害、気分障害、肥満症、悪性腫瘍、認知症、骨粗しょう症、慢性疾患

上記は、乳児期、幼児期などの各段階において発達課題というものがあります。

その発達課題をうまくクリアできなかった場合に起こしやすい疾患が挙げられています。

例えば、乳児期は、母親と子供の間の関係が一番濃密で関係が大切な時期にあたります。

この時期に母親との関係をうまくクリアできなかった、つまり母親のかかわりが適切でなかったような場合、母親が不在で特定の養育者が不在の場合、発達課題である「基本的信頼感」を獲得することができない、となります。

また、別の視点から一覧を引用します。各科ごとに心身症が含まれている場合があるとされる疾患名をあげていきます。

内科領域

カルテと聴診器

循環器系疾患:本態性高血圧症、本態性低血圧症、起立性低血圧症、狭心症、不整脈 等。

呼吸器系疾患:気管支喘息、過換気症候群、神経性咳嗽 等。

消化器系疾患:胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎 等。

内分泌・代謝系疾患:神経性食欲不振症、神経性過食症、甲状腺機能亢進症、糖尿病 等。

神経・筋肉系疾患:緊張型頭痛、片頭痛、書痙、自律神経失調症、筋痛症、めまい、チック 等。

小児科領域:気管支喘息、過換気症候群、過敏性腸症候群、神経性食欲不振症、神経性過食症、単純性肥満症、起立性調

節障害、神経性頻尿、愛情遮断性小人症、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症 等。

眼科領域:原発性緑内障、眼精疲労、本態性眼瞼痙攣 等

耳鼻咽喉科領域:メニエール症候群、アレルギー性鼻炎、咽喉頭異常感症 等

皮膚科領域:慢性じん麻疹、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多汗症 等

整形外科領域:関節リウマチ、腰痛症、頚腕症候群、痙性斜頸 等

産婦人科領域:更年期障害、月経前症候群、不妊症、不感症、膣痙攣、妊娠悪阻 等

泌尿器科領域:夜尿症、神経性頻尿(過敏性膀胱)、インポテンス 等

外科領域:腹部手術後後遺症(長官癒着症、ダンピング症候群)、頻回手術症 等

歯科・口腔外科領域:顎関節症、アフタ性口内炎、特発性舌痛症、舌咽神経症、口腔乾燥症 等

(引用:吾郷晋浩・河野友信・末松弘之 2005 臨床心身医学入門テキスト 三輪書店)

代表的な疾患名の中に、あなたが現在治療中のものはありますか?

(過敏性腸症候群については、腸内バランスを整えることが有効だと言われています。サプリメントの利用もご検討ください。→過敏性腸症候群対策のサプリメントはコレ!

もしそうであれば、心理的な影響が隠れているかもしれません。ぜひ、振り返ってみましょう。

心理的な特徴

失恋女子(画像)

心身症における心理的な特徴とは何か?

心身症の心理を理解するときに大切な考え方として、心身相関という考え方があります。こころと身体は全く別物であるという考え方はありますが、その2つはそれぞれに影響を及ぼし合っている、というものです。

心身相関に関わる心理的要因には、不安や抑うつなどの心理的反応と、暗示されたり、条件反射によって学習されたものがあります。

不安や抑うつが生じると、生理的な反応も変化します。

不安によって動悸や発汗、震えなどが生じるのがそれです。

病気の治療中に、以前経験した痛みを思い出し、不安になり、痛みがより増強するということは予期不安という心理的な影響が身体的苦痛に影響を及ぼしたと言えます。

また、例えば抗がん剤の治療で嘔吐を繰り返していた時によく聞いていた音や場面、においなどが条件反射によって学習されて、その音やにおいによって嘔吐を誘発することもあります。

このように、その症状が起きた状況と似た状況になると症状を誘発しやすいのです。

一方で、その人の一定の行動パターンが症状を誘発することもあります。

特に有名なのは、タイプA行動パターンと呼ばれるものです。タイプA行動パターンを示す人とは、いつも時間に追われるようにしている、過活動、競争心が強く、攻撃的な人のことを指します。

このような人は、虚血性心疾患を起こしやすいという研究データの報告があります。

また別の行動パターンとしては、タイプCと呼ばれる行動を示す人達のことです。

タイプCとは、いい人でノーと言うことができず、いつも周りに合わせてしまう人のことを指します。

感情を抑圧しやすく、自己犠牲的、過剰適応といわれる行動をする人達の一部は、がん患者にみられる性格特徴だという報告があります。

さらに、例えば電車に乗った際にパニック発作が起きた人が、電車に乗ることに対して過剰に反応し、実際には電車に乗る際に症状がでたのは単なる偶然だったにもかかわらず、症状が増悪したり、回避行動が増えるような場合もあります。

こういった症状の増悪へ心理的な影響が及んでいることがわかります。

このように、心理的な部分が身体疾患へ影響を及ぼすことが確認されている疾患があります。

あなたの行動パターン、または症状増悪のパターンはいかがでしょうか?

心身症と自律神経失調症の関係

長ネギと医師(画像)

まず、自律神経失調症は、明確な定義がなく、医師によって違った病名をつけられやすいということ。

そして、心身症は、「心身症」ではなく、「胃潰瘍」とか「本態性高血圧」というように、身体疾患名をつけるという医師もいます。両者とも定義があいまいということです。

心身症は、身体的な疾患が心理的な要因から影響を受けていると認められる場合に心身症と呼びます

疾患というのは、実際に胃潰瘍ができている、血圧が上がっているというような「器質的な」変化がある場合もありますし、過敏性腸症候群のように腸の機能障害があるような機能的な問題がある場合とがあります。

自律神経失調症は、自律神経が乱れることに起因した全身症状などを指しますから、機能障害という点で心身症の分類に入れられている場合があります。

明確な違いとしては、自律神経失調症が、症状が浮動的であちこちに変わりやすかったり、全身症状を起こしやすいのに対して、心身症は局部で固定された場所に症状がでます。

また、心理面においての違いとして、心身症はアレキシサイミアといって、感情を言語化できないと言われますが、自律神経失調症の方にはそのような特徴はありません。

そういった違いから、異なる病気として位置づけられている場合もあります。

心身症を改善する方法

西の浜(画像)

心身症を改善するためには、色々な方向からアプローチをすることが必要になってきます。

まず、心身症であることに主治医や患者さんが気づくところから始めなくてはいけません。

心身症は器質的な変化、つまり、身体の病気が明確にあるわけですから、内科医などにかかって治療を勧めている場合が多いでしょう。

なぜか症状を再燃し、繰り返したり、増悪したり、改善の兆しが見えなかったり、薬が効かなかったりする場合があるでしょう。

そういった時に、身体的な問題の他の因子、つまり心理社会的な因子も視野に入れて治療をすすめなくてはいけません。

しかしながら、心身症に対して明るくない医療機関、主治医の場合、そのことに気づかずに同様の治療が繰り返されると推測されるわけです。

それはもちろん、当たり前のことで、主治医が内科医であれば、内科的な治療を行うしかないのです。

そこで、主治医が「これは・・」と思って、心療内科等へ紹介状を出してくださったり、受診を勧めることがあれば良いのですが、そうでない場合には主治医へ一言ご相談ください。

「もしかすると、こういう問題がありますか?」「心理的な問題について治療をしてみたいのですが」と。

そうすることで道が開ける場合がありますし、そうまでしても変わらないのであれば、別の医療機関を探したり、ご自身で心療内科を受診するなど、ご自身やご家族が探し求めていく他ありません。

さて、心理的な問題に向き合う環境ができたならば、次にすることは以下のように自己理解すること、ストレスを知ること、自律神経について知ること、など以下の方法を取り入れることが有効です。

自己理解すること

ひまわり

まず、薬物療法にて症状が改善し、ある程度身体症状が落ち着いてきた頃には、今度は予防にもつながるケアを実施しなくてはいけません。

その一つがストレスを自覚し、自己理解することです。

自分自身が自覚していないストレッサーに気づき、ストレス対処(コーピングといいます)の方法を再度確認していくことが大切です。

そのために、自分自身の性格はどのような性格特徴なのか。

タイプを知っておくことは非常に有効です。

ストレスについて知る

あなたはストレスを普段感じる場面がありますか?

ストレスとは厳密にはストレス反応のことを指します。

ストレスとは、引っ越しや昇進といった日常にあるささいな変化から、家族と離別したり病気をしたりなどの大きな変化も含めて、周囲や環境から何らかの圧力(ストレッサー)が加わったときに起こる「私たち自身の内部から生じる歪み」のことをいいます。

歪みと言うとわかりづらいかもしれません。私たちのことを丸い空気の入ったボウルに例えると理解しやすいと思います。

ボールは外から力が加わると凹んで変形しますね。

そして、ボールは元に戻ろうとして内部から押し返す力がうまれて、拮抗状態になります。

これを心理学ではストレス反応といいます。

具体的な場面でいうと、高校受験に惜しくも失敗してしまった場合・・。

頑張った分だけ、非常に気持ちが滅入ると思います。

その時、受験の失敗がボールをへこませる外からの圧力であり、ボールが凹んでいたのを押し返そうとする力が「気分が滅入る」ことに当てはまります。

このように理解すると、気分がめいるのも、元の状態に戻るため(ストレス状態から元に戻るため)の人の反応といえます。

そう考えると、落ち込むべき時には十分に落ち込んだほうが良いし、悲しい時はたくさん泣いたほうが良いのですね。

そして以下の一覧は、人々にとってストレッサーとなる出来事を数値で表しています。

このストレッサーは日常生活のささいな出来事から、人生での大きな変化まで幅広い範囲にわたっており、生活に影響を与えます。

以下の一覧の表す数値の意味は、結婚してから普通の生活に戻るまでを50だとしたら・・、という設定でアンケートを施したものです。

例えば、結婚後から日常の状態に戻るのが50であるのに対し、配偶者が亡くなってから元の普通の生活状態に戻るには、100という高得点になっています。

どのような出来事が、どれくらいストレス度合が高いのか理解することが大切です。

また、過去一年間の間に下記のストレッサーの合計が200-299点あると、50%の人が、300点以上ある場合は、80%の人がその後の一年間に心身の健康障害を起こす可能性があります。

あなたの得点はいかがですか?

出来事 ストレス(%)

配偶者の死  100

離婚  73

配偶者との別れ  65

拘禁  63

親密な家族メンバーの死  63

怪我や病気  53

結婚  50

職を失うこと  47

引退  45

家族メンバーの健康上の変化  44

妊娠  40

性的な障害  39

新しい家族メンバーの獲得  39

職業上の再適応  39

経済上の変化  38

親密な友人の死  37

仕事・職業上の方針の変更  36

配偶者とのトラブル  35

借金が1万ドル以上に及ぶ  31

借金やローンのトラブル  30

仕事上の責任のトラブル  29

息子や娘が家を離れる  29

法律上のトラブル・親戚とのトラブル  29

特別な成功  28

妻が働き始めるか、仕事を辞める  26

学校に行き始めるか、辞める  26

生活条件の変化  25

個人的な習慣の変更  24

職場の上役とのトラブル  23

労働時間や労働条件の変化  20

住居の変化  20

転校 20

気晴らしの変化 19

宗教活動の変化 19

社会活動の変化 19

1万ドル以下のローン 17

睡眠習慣の変化 16

同居家族数の変化 15

食習慣の変化 15

休暇 13

クリスマス 12

軽度の法律違反 11

(Miller,M.A. & Rahe,R.H. 1997 Life changes scaling for the 1990s’. Journal of Psychosomatic Research 43 pp279-292 )

自律神経のこと

神経

私たちが普段、何気なくしている行動はすべて、脳がコントロールをしています。

例えば、おなかが空いてご飯を食べる時、ボールが突然顔面に飛んできて、思わず目をつむる場面、好きな本を買ってもらってうれしくて笑顔になる、近所の方の迷惑行為に腹を立てる・・。

こういったささいな行動もすべて、脳がコントロールをしているのです。

脳は、何らかの出来事が起きた時にそれを分析し、ストレスになるものを感知し、自分の中に現れる感情も感知して、それを基に指令を出していきます。

よく言われる例は、運動したとき。

遅刻しそうになって走って電車に駆け込んだとします。

そうすると、走り終わると心臓はドキドキと高鳴り、汗をかいてきます。

これは、走るという全身運動を行うときには、筋肉がたくさんの酸素を消費するため、血液の供給量を増やし、それによって体温が上がってしまったのを汗をかくことで低下させているのです。

「暑い」時は汗が流れるし、「寒い」時は毛穴を収縮させて体温が奪われないように温存します。

これによって体温調整が行われています。

この自然な働きは、脳の視床下部というところから指令が出ることで、自律神経が活発に働き、調整します。

交感神経が優位になることで運動しやすい身体の状態になりますし、睡眠しようとするときにはエネルギーを温存するために副交感神経が優位に働きます。

脳のコントロールセンターと対比して、末梢神経というのがあります。

これは、神経を通じて体の各器官とつながり、情報交換をしたり、指令を伝達して体の各部位を動かしたり、感覚をつかさどってモノを見たり、聴いたりするのに利用されています。

自律神経は、この末梢神経の一部に分類されていて交感神経は鼓動を早くしたり、消化器の活動を活発にさせます。

一方副交感神経は、交感神経とは反対の働きをしていてエネルギーが無駄に消費されるのを防ぎ、エネルギーを充電するために使われます。

薬物療法のいろいろ

お薬(画像)

ストレスを自覚することと合わせて大切なのは、薬物療法です。

お薬を使って、つらい症状を和らげて行きます。

もっともよく利用されるお薬は、抗不安薬です。

抗不安薬は、感情をつかさどる大脳辺縁系に働きかけて、不安を減少させ、身体にある緊張を取り除く作用があります。

作用の強弱から整理していきます。

作用が弱い薬の製品名と一般名

ハイロング (オキサゼパム)

セレナール (オキサゾラム)

作用が中程度の薬の製品名と一般名

コント―ル、バランス (クロルジアゼポキシド)

セルシン、ホリゾン (ジアゼパム)

ノブリウム、レスミット (メダゼパム)

リーゼ (クロチアゼパム)

メンドン (クロラゼプ酸ニカリウム)

セダプラン (プラゼパム)

エリスパン (フルジアゼパム)

ソラナックス、コンスタン (アルプラゾラム)

メレックス (メキサゾラム)

コレミナ-ル (フルタゾラム)

メイラックス (ロフラゼペート)

セディール (タンドスピロン)

作用が強い薬の製品名と一般名

セパゾン、エナデール (クロキサゾラム)

レキソタン、セニラン (ブロマゼパム)

ワイパックス (ロラゼパム)

デパス (エチゾラム)

レスタス (フルトプラゼパム)

上記のお薬は、作用時間も異なりますし、持病がある場合には服用できないこともあります。

自律神経のバランスを調整するお薬

自律神経調整薬

ハイゼット、ガンマオリザノール: 更年期に見られる冷えやのぼせの緩和

グランダキシム、トフィソパム: 交感神経優位になったための頭痛や肩こり、手足冷えの緩和

自律神経末梢作用薬

リズミック、メチル硫酸アメジニウム: 起立性低血圧症状の緩和

インデラル、塩酸プロプラノロール: 交感神経優位になったための不整脈や動悸、不安の緩和

ブスコパン 臭化ブチルスコポラミン: 胃腸症状の緩和

自律神経を整えるために、脳の視床下部に働きかけるのが自律神経調整薬であり、末端に働きかけるのが末梢作用薬となっています。

これらを利用して、自律神経を整えていきます。

上記の薬物療法を医師の指導のもと行いながら、その次にはストレス緩和ができるようにしていきます。

お薬は、先生の指示通りにすればいいわけですが、ストレス緩和と言うのは、本人の主体性がとても重要になっていきます。

まず、ストレスの自覚をすること、そして辛い症状を薬物療法で緩和すること、その次にストレスを分析し、それに対する対処を考えていくこと。

このような流れになります。

認知の修正によって症状を改善する

カウンセリング男性

それでは、具体的にどのようにして症状を改善させていけばいいのでしょうか。

自律神経失調症やうつ病になりやすい人の特徴として、クヨクヨと考えてしまう人がいます。

心身症の方においても、そのような方がいらっしゃいます。

再発予防、症状の改善のためにはあなた自身の考え方のクセを見つけることから始めます。

その時に利用するのは、自己モニタリングシートです。

活動記録SS

(自己モニタリングシート)

例えば、主婦のA子さんが姑とのやりとりを気に病んでいる場面を例にします。

いつも帰りの遅い夫B介は、夕食の支度はしなくていいと言ってくれていました。

それはまだ小さい息子への世話を考えてのことです。

ある日、お姑さんが上京して家にやってきました。

すると姑さんは「B介の食事は準備していないの?かわいそうに」と。

その後、姑が地元へ帰ってあとも気になっていました。

「きっと私を悪い嫁だと思っただろう」「体調を崩したら私のせいだと言われないだろうか」「親戚に私の悪口を言っているかもしれない」などとクヨクヨと考えてしまい、気分が落ち込むばかりでした。

場面:「B介の食事は準備していないの?かわいそうに」と言われた

考えたこと:「きっと私を悪い嫁と思っただろう」

気分:落ち込む

しかしここで、別の考え方を思い浮かべてみましょう。

もっと違う考え方や見方はありませんか?

別の見方:

「一度のことで悪い嫁だと思うなら、それはお母さんの考え方が問題だ」

「もう大人なんだから、子どものこともあるのに、それがわからないほうがおかしい」

「悪い嫁って思われても、特に気にしなければいい」

このように考えるといかがでしょうか。

気分は少しは良くなりませんか?

これを練習してうまく対処できるようになることは、症状悪化を防ぐことに繋がります。

あなた自身が考えのクセを見つけて、それをポジティブなものに変換させる作業を行います

感情を言葉にすることが症状緩和に良い効果がある

多くの心身症患者さんに共通するのが、「アレキシサイミア」という症状です。

この症状は、感情を言語化できない=失感情症 と言われるものです。

これを読んでいるあなたはピンとこないかもしれません。でも、以下の文章を読んでみるとわかるはずです。

「文章完成テスト」という心理テストがあります。

これは、文章の頭の部分だけがある文章に、自分なりに考えて文章を完成させるものです。

例えば、「私の母は・・・  」に続く言葉をいれて、文章を完成させます。

「私の母は、いつも怒ってばかりでした」とか「私の母は、いつも優しくしてくれ、テストで良い成績をとるとご褒美をくれました」

などです。
以下は、1.不安障害の患者さんと、2.心身症の患者さんのテストの結果です。

1.不安障害の方

私はよく人から・・信頼されて勤め先の娘たちの相談に乗りました。

私の父は・・勤勉な苦労人でした。尊敬しています。

私の母は・・いつも笑顔で優しく迎えてくれました。

時々私は・・仕事の手を休め、とりとめのないことを考えます。

私が心をひかれるのは・・野の花の自然な美しさです。

私の兄弟は・・10人それぞれ異なった性格で、みんな幸せに暮らしています。

職場では・・人との会話に自然に笑顔がでます。

妻として・・3役をこなすのは大変でした。

結婚・・3年間は幸せでしたが、主人の病気で苦境に立ち・・今は慈悲の心でしょうか。
どうしても私は・・主人のことが気にかかります。

2.心身症の方

私はよく人から・・あまり無理をしないように言われる。

私の父は・・戦死しました。

私の母は・・一人で子供を4人育て大変だったと思います。

仕事は・・楽しくするほうです。

家では・・自分から話すほうじゃない。

私の兄弟は・・男2人、女2人の4人です。

職場では・・月の半分くらい出張していました。

妻は・・偏食です。

結婚して・・今月で23年になります。

どうしても私は・・気を遣いすぎます。

(引用:吾郷晋浩・河野友信・末松弘行 2005 臨床心身医学入門テキスト 三輪書店)

1と2を比べると、いかがでしょう?

1のほうはありありとその人らしさが目に浮かんできますよね。

一方で、2は状況を伝えることが主であり、心模様を知ることは難しいことがわかります

あなたの場合はどちらに近いでしょうか?

感情を言語化できるようになるというのは、本来持っている私たちの感情を感じられるようになるということです。

心身症でアレキシサイミアとなっている方は、感情の経路が遮断された状態です。

また、感情を言語化しない傾向というのは、様々な人間関係において自分の考えや気持ちを言わずにおいてしまうことにもつながっていきます。

そうなると、対人関係での悩み、葛藤から心身症が増悪することが考えられます。

その場合には、主張訓練が功を奏する場合があります。

例えば、お母さんにいつも干渉されたり皮肉を言われたりしているが、いつも無言で、何も言えずにいる場合。

無言になると、自分の気持ちが未消化になり、モヤモヤした状態になります。また、言わずにいることで、「自分が悪いんだ」と考えてしまうこともあります。

自分の考えていること、またうまく皮肉などをかわすことを覚える(適切な自己主張)と良いでしょう。

リラクセーションの技法を取り入れる

ヨガ女性(画像)

リラクセーションの方法を身に着けておくことは、健康な人も病気のある人にとっても有効な対処方法です。

多くの場合、疲れや緊張が続いているのであれば、交感神経が亢進している状態といえます。

それに対処している間、身体は非常に消耗しています。

病気を自分の中に取り込み、コントロールしていくためには消耗や疲労をしていてはいけません。

そのためにも休養してエネルギーを蓄える必要があるのです。

さらにリラクセーションを取り入れて副交感神経の働きを活性化させ、疲労や消耗を和らげて、うつ病に打ち勝つ身体を作っていきましょう。

ご紹介するのは、心理療法の中でもポピュラーな「自律訓練法」です。

自律訓練法は、自律神経のバランスを整える方法です。

パニック障害は、自律神経のバランスが崩れ、常に交感神経が優位になった状態です。

これを意のままにコントロールできればパニック障害を和らげることができるはずです。

方法について説明していきます。

自律訓練を始める前に、漸進的筋弛緩という方法を取り入れると自律訓練によるリラクセーション効果を十二分に感じることができます。

【漸進的筋弛緩(ぜんしんてききんしかん)】

椅子に腰かけた状態でいましょう。

リラックスして座っていてください。

足は肩幅に開き、両手は太ももの上にそっとおいてください。

指先やひじは軽く曲がる感じです。

最初に両肩をぐっと上にあげてみましょう。

5秒程度、両腕は下ろしたままで首をすくめるようにして両肩を上にあげて、一気にストンと下に落とします。

重力に引っ張られるようにストン!!と落とします。

そうすると、凝っていた肩が緩んで弛緩した状態になりますね。

このように筋肉に力を入れたり、抜いたりする作業を足先から頭のてっぺんまで実施していきます。

両脚の指をぐっと内側に丸めるようにして力をいれ(5秒程度)、ストン!と力を抜きます。

両脚全体(足首から太ももまで)をぐっと力をいれ(5秒程度)、ストン!と力を抜きます。

お尻の穴をキュッと閉め、お尻や臀部にぐっと力をいれます(5秒程度)、その後ストン!と力を抜きます。

その後息を止めて、おなかと背中にぐっと力を居れます(5秒程度)、その後ストン!と力を抜きます。

握りこぶしを作って両腕全体にぐっと力をいれます(5秒程度)、その後ストン!と力を抜き両腕を膝の上におろします。

両肩を上にあげ、肩や首周りにぐっと力を居れます(5秒程度)、その後ストン!と力を抜いて両肩を落とします。

梅干を食べている時のように、顔をぐっとすぼめてみます(5秒程度)、その後ストン!と力を抜きます。

この方法を実践して後すぐに、リラックスした態勢のまま、自律訓練を行います。

自律訓練には、背景公式と標準公式とがあります。

自律訓練法は佐々木による説明では積み上げ方式と呼んでいます。

積み上げ方式とは、一つをクリアできたら、それにさらに上の段階の公式を積み上げていくことです。

背景公式 気持ちが落ち着いている

標準公式(1) 両手両足が重たい

標準公式(2) 両手両足が温かい

標準公式(3) 心臓が自然に静かに規則的に打っている

標準公式(4) 自然に楽に息をしている

標準公式(5) お腹が温かい

標準公式(6) 額が冷たくて涼しい

深呼吸を3回を繰り返し、その後普通の呼吸に戻します。

そして目を閉じて、背景公式を唱えていきます。

「気持ちが落ち着いている・・気持ちが落ち着いている・・」と4-5回繰り返します。

まずは、重感練習から始めます。利き腕ほうが効果が出やすいので利き腕から・・

1.「気持ちが落ち着いている・・気持ちが落ち着いている・・」

2.「右腕が重たい・・右腕が重たい・・」

を何度か繰り返した後、消去動作を行います。

どうでしたか?右腕は重たくなったでしょうか。

1→2→1→2→・・・消去動作

消去動作とは、両手で握りこぶしを作り、グーパーグーパーと開かせ、両腕を曲げたり延ばしたりして、最後には背伸びをします。

これをすることで、副交感神経が優位になっていた状態から交感神経にスイッチされます。

睡眠前には消去動作は要りませんが普段起きている時間帯では、自律訓練の後には消去動作を実施しましょう。

これまで一緒に自律訓練に取り組んだ患者さんからは、高血圧で困っていらっしゃったのですが、実際に自律神経の反応として血圧の低下が見られたほか、「性格が丸くなった」という家族の印象報告もあり、身体的&心理的な効果も期待できます。

対人関係

人間関係(画像)

症状の改善に向けて様々な側面から実践をしていただくと、それまで病気を患ったためにうまくいかなかった、もしくは直面せずにすんでいた対人関係の問題が表立って出てくることがよくあります。

自律神経失調症・うつ病・心身症などの発症にはストレスが関与していると言われます。

ストレスの多くは人間関係が影響しますから、その人間関係から自分自身を保護する役割として病気がある場合もあるのです。

これを「疾病利得」といいます。

疾病利得とは、病気であること自体が本人にとって利益となることをさします。

病気をして仕事を休むことで、職場の煩わしい人間関係から一時的に解放されるといったことがそうです。

また、昇進という嬉しい変化があったものの、うまく部下を動かすことができなかったり、依頼される仕事を断れなかったりなど、職場に行くことが億劫になっていったということもあるかもしれません。

もし病気が治ってしまったら、この人間関係や仕事に再度向き合わなくてはならないのです。

今挙げたことは一例であり、これに似たような状況や、そのほかの対人関係の問題が雲隠れしている場合があります。

実はこれらの多くは、あなたの病気を回復させる妨げになってしまっています。

ですので、しっかりと向き合い対処していくことが大切です。

対人関係の問題は、一度あなたの対人関係の持ち方を振り返り「棚卸する」ことが有効です。

あなたの人間関係を見直して、人間関係ストレスを減らし自律神経失調症の再発予防をしましょう!

自身の対人関係を理解する

あなたにとってキーパーソンは誰ですか?

キーパーソンは医療の現場でよく使う用語です。

治療の方針を決める時など、入院中の患者さんのキーパーソンを呼び、ムンテラ(主治医による説明)をします。

この場合は家族がキーになることが多いです。

ここでいうキーパーソンは、少し意味合いが違います。

私たち人間は社会的動物ですから、人との関係なくしては生きていけません。

いつも私たちは人を意識して生活をしています。

おしゃれをする理由は?誰かにみてもらって、褒めてもらいたいからです。

かっこいい車に乗りたいのはなぜ?他の人とは違う自分をみてもらいたいからです。

全てがそうであるというつもりはありませんが、生理的欲求よりも上位の欲求は他の人がいてこそ実現することに意味があるわけです。

そして、より理想的な対人関係の在り方とは以下のようなサークルに重要度に合わせて対人関係を整理できることです。

人間関係のサークル

(人間関係のサークル)

真ん中のサークルには、恋人や親友、両親、配偶者などが入るかも知れません。

中間のサークルには、友人や同級生、祖父母などが入るかもしれません。

一番外側のサークルには、同僚など職場の人間関係が入るかもしれません。

あなたのサークルはどうですか?

このサークルの中に対人関係をバランスよく整理することができていれば、非常に精神的に健康度が高いと言えます。

一方、偏っていたり、位置が逆転してしまうと不健康に陥りやすいと考えらえます。

例えば、サークルの中心に家族を配置しているB子さん。

彼女は夫と共働きですが、出産を機に仕事を辞めることにしました。

仕事よりも家族という構図がもともとしっかりとあったので、元々仕事は好きでしたが一時的に辞め、

子どもが小学校に入るころに復職するまで、子育てを満喫することができました。

一方のC実さんは、サークルの中心には職場の同僚や上司が名前を連ねていました。

彼女は、バリバリのキャリアウーマンでした。

夫もよく理解をしてくれ、帰宅時間はいつも深夜であり、食事はコンビニ弁当でした。

ある時、妊娠が発覚し、出産後育児休暇をとりました。

育児休暇中も仕事があたまから離れず、子どもがいう事を聞かないことに腹を立てて怒ってばかりでした。

早く戻らないと自分のポジションは誰かに奪われてしまうのではないか?そんな気もちで育児に専念できるはずもありません。

小さな我が子に怒っては罪悪感にかられるというスパイラルで、しまいには夫と離婚、育児休暇が明ける前にノイローゼ状態になってしまったのです。

いかがでしょうか。

仕事を大切にすることはもちろんいいことですが、ライフサイクルに合わせて変化させる柔軟性がなければある時それが崩れてしまいます。

もちろん、一生涯仕事しかしない、というのならそれもありでしょう。

しかし、もし家族を持つのであれば、やはり最終的には重要な他者は家族、親友、親、子ども、配偶者であるべきです。

そうでないと、後々に歪がうまれてきます。

職場ではあなたの代わりがいても、家族の代わりには誰もなれないからです。

このサークルに入るあなたの周りの人間関係、もう一度よく見て、歪みが起こりそうなところはないか確認しましょう。

対人関係で陥る自己ストーリーを理解する

交流分析という心理療法があります。

これを創始したのはエリックバーンという方です。

バーンは、幼いうちから人は自分についての人生脚本を描いているといっています。

そして、それは簡単に以下に要約できると言います。

私はOKである、あなたはOKである

私はOKでない、あなたはOKである

私はOKである、あなたはOKでない

私はOKでない、あなたはOKでない

OK牧場

(OK牧場)

私たちが描く人生脚本は、この4つの立場のいずれかに入ると言います。

このいずれかの立場にたって、私たちは幼少期にすでに「こんな人生ヒストリーを歩もう」と決めているのだそうです。

例えば、ある幼児は言葉を自由に操る年齢になる前に、ママとのやりとりで、自分は愛されていないと感じました。

「僕は誰かを愛するというリスクは犯さないぞ。

だって、ママは僕を愛してくれなかったから」と思い込み、そのように決めてしまいました。

そして、それを正当化するために、「やっぱり僕は人に愛されない」とか「ほら、愛されようとすると拒絶され傷ついてしまう」というように、あたかも一度決めたヒストリーに沿うように、行動をするのだというのです。

これはイコール「私はOKでない」という立場を早期からとってしまったのです。

「今ある自分はこれまでの過去の積み重ね」とはよく言ったものですが、それが未来を決めるわけではありません。

あなたが切り開いていけるんです。

さて、上記の4つの立場のどれに位置しているのかは、普段のあなたの対人関係の在り方を振り返ってみてください。

何か頼みごとをされた時、あなたはどう感じますか?

相手によりけり、内容によるかもしれませんが、よく経験するものを選んでください。

そして自分のパターンと似ているものを選択してください。

1.「一緒にがんばろう!」という気持ちになる→私はOKである、あなたはOKである

2.「いつも私だけ嫌な思いをするわ」と不快になったり「どうせ私だけが遅いのよ」などの自己卑下になる→私はOKでない、あなたはOKである

3.「どうしていつも遅れて依頼するの?」と相手を責める気持ちになることが多い→私はOKである、あなたはOKでない

4.「もううんざり。私もお手上げよ」という気持ちになる→私はOKでない、あなたはOKでない

4ついずれかに当てはまるような偏りがあるはずです。

大体、この辺かな?と決めることができるでしょう。

対人関係において、1の立場をとっているあなたは心身的に健康度が高いです。
2では憂鬱になりやすい、3では偏屈的で被害妄想的になりやすい、4では絶望や不毛な立場になりやすいといえます。

常に上記のような対人関係を持ち続けていれば、それほど遠くない時点において心身を害する恐れがあります。

2または3の立場にいる場合、1の健康的な立場に移行するのは比較的たやすいです。

どのようにして移行させるのかというと、自分が陥っているネガティブな立場(私はOKでない、またはあなたはOKでない)に居る時に、意識してそれを変化させるのです。

あなた自身が「私はOKでない」という立場でいるならば、自己肯定できるような思考過程や態度を持つこと、「あなたはOKでない」という立場でいるなら、他者肯定する思考過程や態度に気を配ることです。

言葉は難しいですが実にシンプルです。

「あなたはいま、どの立場で考え、話をしていますか?」

この言葉を意識してみると、自分の立ち位置がわかってくるはずです。

ネガティブな言葉をよく発しているのなら、それを変えてみましょう。

そうすれば、相手も変わってきます。

ぜひ、日ごろから取り入れてみてください。

具体的なコミュニケーションの解決策

さて、それではコミュニケーションにおける具体的な解決策についていくつかご紹介をしていきたいと思います。

人とのコミュニケーションにおいて大切なことは、1.きちんと明確な言葉で伝えること、2.自分の考えとしてほしいと思っていることを伝えること です。

コミュニケーション場面で困ることっていうのは、たいていの場合、お互いの意見や認識がズレている時ですよね。

妻「子育てを手伝ってほしい」

夫「十分手伝っているじゃないか」

お互いがそれぞれ目線を揃えずに、違う土俵で話をしようとすると、平行線となって、話し合いにはなりませんね。

上の育児の場面でのやりとりで言えば、妻からすれば「そうではなくて・・」となるはずです。

しかし夫には夫の認識が別にあります。

その背景には夫には「育児は母親がやってしかるべきだ」という認識、価値観があるかもしれません。

一方、妻のほうには「同じく仕事もしているんだから、男女とも平等に家事や育児をするべきだ」と思っているのかもしれません。

このズレは、ひも解いてみると、「相手に対して自分がどう期待しているのか」また「相手は自分にどう期待をしているのか?」という点を明確にしていくことで解決する場合があります。

相手に対する期待

(期待の明確化)

この場合、夫の期待は「育児は女性がやるもの」と考え、妻は「平等に分けるもの」と考えています。

この根本部分を取り上げない限り、平行線は変わらず、最終的にはぶつかることになりかねません。

では、どのようにして掘り下げればよいのか?

妻は、育児は平等にしたいと思っていることを伝え、してほしいことを具体的に述べてみます。

例えば、

「あなたが育児は女性の仕事と考えているのはわかった。でも、私は仕事もしていて育児を完璧にこなすことはできない。もう少し育児を手伝えるように、時間をもってくれないかしら」

と提案します。

多くの場合、不満を述べるのに終始してしまうのですが、自分の価値観(期待)を表明するとともに、何をしてほしいと考えているのかを伝えます

そして更に踏み込んで、より具体的に「週の半分は送迎をしてほしい」「お風呂にいれてあげてほしい」などと伝えるのが良いでしょう。

これによって、相手がそれを実行可能かどうかを考える機会になれます。

もちろん一方的に言うだけではお互いの関係上良くありません。

相手の言い分をしっかり聞いて、それが「自分にできることかどうか」を伝えるのです。

先ほどのあなたの人生の立場を振り返ってみましょう。

もし、「私はOKである、あなたはOKである」という立場からお話することができていれば、きっとお互いの考えや価値観、気持ちを尊重して有意義な話し合いができるはずです。

しかし、「私はOKである、あなたはOKでない」の場合には夫に対して「どうしてもっと〇〇してくれないの!」と相手を責めたり、攻撃したりしかねません。

また「私はOKでない、あなたはOKである」の立場にあると、「いつも私だけが辛い思いをしている・・」とか「やっぱり私には子育てする能力がないのよ」というように自分に対してマイナス思考になってしまいます。

「私はOKでない、あなたはOKでない」の場合であれば、「もう限界!もう無理!耐えられない!」といって話し合いすらできず、すぐに別離することになるでしょう。

お互いの関係を大切にしたいとお考えなのであればぜひ、「私はOKである、あなたはOKである」の立場にたち、お互いを尊重しながら話し合いすることがとても大切です。

また明確に言葉にして伝えることが大切なのは、往々にして日本人は「わかるだろう」と思って全てを伝えようとしません。

それは特にいつも一緒に過ごす家族や親友などの場合にそうです。

「私が大変なのを夫は気づいているはず」「ため息をついている私を見れば、手伝ってほしいことに気づくはず」などのようにです。

しかし、実際にはそれでは相手はわかりません。特に相手が異性であれば尚更、言葉による補完が大切です。

「私はこう思っているのだけど、あなたはどうなの?」

「実は今日疲れがひどいの。皿洗い、朝の分だけでも洗っていてほしいのだけどどうかな」

といったように、ちゃんと伝えましょう。

そうすることで、相手はそれができるのかどうか理解するし、できない時であれば二人でどうすればよいか考えることができます。

そうした話し合いの中では、期待を見直す必要があることもあります。

話し合いをして伝えたとしても、夫が「仕事のため、育児を手伝う時間が十分にとれない」と言うのであれば、あなた自身がその期待を変えていくことが必要です。

例えば、保育園を活用する、シッターを雇う、祖父母に協力を仰ぐ、近所の親戚を頼る・・といった形でしょうか。

してほしいことを他の資源に託せるのかどうか?

そして、それでも限界がある場合、夫との関係性に改善がみられない場合には、第三者をいれて話し合いをし、限界設定といって「ここまでになったら、こうしよう」と決めていくことも必要です。

全てが円満にいくとは限りませんから、不満が募り、行き詰まって、離婚に至るケースもあるでしょう。

でも、我慢やあきらめるという方向では新しいものはなかなか生まれづらいです。思い切って離婚をしたからこそ、よりよい人生が始まる場合もあります。

離婚というシナリオが必ずしも不幸になるわけではない、それが最善の策である場合もあるのです。

大切なのは、尊重し、伝え合うことです。

ストレスを溜めない交流の仕方

愛想付かす女性(画像)

さて、「3-2対人関係で陥る自己ストーリーを理解する」のところで、交流分析の考え方であるOK牧場についてお話をしました。

さらに、交流分析の中には対人交流の際、「ゲーム」という考え方があります。

ゲームにはいくつか種類がありますが、一つを例にあげてみたいと思います。

交流分析において、人の自我状態は

「CP:Critical parent」

「NP:Nurturing parent」

「A:Adult」

「AC:Adapted Child」

「FC:Free Child」

の5つからなるとしました。

5つの自我状態

(自我状態モデル)

この自我状態とは、あなたを養育していた人々から得た知識や考え方、行動(CP,NP)と生まれながらに持っているその人自身の欲求や感情(FC)、それから成長の過程で身に着けてきた適応行動(AC)、最後に様々な環境、情報、自分自身の欲求などを踏まえて判断する、現実検討する部分(A)のことをそれぞれさします。

この5つの自我状態がそれぞれどのようにその人を構成しているのかによって、人の言動、態度などが規定されてくると言います。

例えば、ACが高い場合には、周囲に適応する能力が高い反面、流されてしまうこともあります。

Aの現実検討能力がほかに比べて高い場合には、冷静に物事を判断し、情報を収集できる反面、冷たくて打算的だと見られがちです。

CPが高い場合には、理想を追い求めたり、自分や他人に厳しくし、規律を正すことの反面、頑固で融通が利かない場合があります。

NPが高い場合には、お世話や人を育てることが上手な反面、相手の自立心を奪ってしまう恐れがあります。

このように、それぞれの自我状態には、メリットデメリットがあります。

大切なのは、あなたが今、どの自我状態にいるのかを理解し、必要な時には色々な自我状態へ移行することができることが望ましいと言います。

社会適応の上手な方は、偏っておらず、むしろ色々な対応の仕方ができること、つまり、理想を追い求めたり、感情を露わにしたり、相手を褒めたり、周囲に合わせたりといったことをその場に合わせて切り替えることだと言えます。

一つ、わかりやすくコミュニケーション例を挙げてみます。

よく、課長に叱られているB君。大事なアポが入っている時にも、遅れてきたり、少しのんびり屋さんです。

今朝も遅れて出勤しました。

課長:「今日も又遅刻か。どうしてこう毎日遅刻するんだ!?」

B君:「すみません。」

課長:「このあいだも遅刻したせいで、先方にご迷惑をおかけしたんだぞ。わかっているのか」

B君:「はい・・」

課長:「本当にわかっていたら、こう毎日遅刻するはずがない!・・・」

・・・・

というように、延々と課長のお説教が始まりました。

B君と課長のやりとりは毎度のことです。これを自我状態モデルから見てみるとどうでしょうか。

ゲーム1

(ゲーム①)

課長:「今日も又遅刻か。どうしてこう毎日遅刻するんだ!?」 (P)

B君:「すみません。」 (C)

課長:「このあいだも遅刻したせいで、先方にご迷惑をおかけしたんだぞ。わかっているのか」 (P)

B君:「はい・・」 (C)

課長:「本当にわかっていたら、こう毎日遅刻するはずがない!・・・」 (P)

・・・・

Pは、CPのことを指していますが、CPで厳しく相手を追及しているわけです。

PACモデル

(自我状態PACモデル)

そして、それを子供のC(AC)で返すことで、この二人の交流ゲームは延々と続いてしまいます。

B君については、このようなやりとりでは建設的な回答は出ず、長い長いお説教はプラスにはなりません。

ここで、B君はどうすればよいでしょうか?

課長:「今日も又遅刻か。どうしてこう毎日遅刻するんだ!?」

B君:「すみません。」

課長:「このあいだも遅刻したせいで、先方にご迷惑をおかけしたんだぞ。わかっているのか」

B君:「先方にも課長にもご迷惑をおかけして反省しています。明日から、いつもより30分は早く起き、間に合わせます」

課長:「・・本当にそうしてくれ」

ここで、B君はCで謝るのではなく、現実検討のAの姿勢で回答します。

どうすればこの問題を解決するか、自分から発信することで、長い長い説教から逃れられますし、有言実行という言葉もありますように、明日から気が引き締まるでしょう。

ゲーム2

(ゲーム②)

上記のB君のように、ずっと「C」で対応するのではなく、その都度自我状態を切り替えて、対処することが大切です。
そうすることで、不必要なストレスは減ることでしょう。

セルフケアして症状の予防をする

見上げた木(画像)

心身症の症状を改善するために、これまであなたは色々な方法を試してきたことだと思います。

このブログを見て、様々な角度から対処が必要だということがおわかりになるでしょう。

先ほどからお話している通り、心身症を患うまでには、ご自身の考え方の偏り、病前性格、ストレス対処法、対人関係の持ち方など様々な要因が複合的に絡み合っていると思います。

それでは私たちは何もせず、風邪をひいたときのように毎回薬を飲むのでしょうか。

いいえ、できることがたくさんあります。

心身症の発症に関係し、症状を増強している理由の一つは、あなたの病気に対する心構えです。

その対処はいろいろあるのですが、より取り組みやすく、副作用が少なく、心身の他の部分にもよりよい作用をもたらす以下の方法をご紹介します。

呼吸法やマインドフルネス瞑想は、私たちの物事のとらえ方や姿勢をより健全なものにします。

首こり解消は、身体症状を非常に簡単なやり方で圧倒的な症状改善効果や予防効果を感じることができます。

最後に、パワーオブコントロールとは、セルフケアを始めて、自分自身の手に「力・power」を取り戻すことの大切さをお話したいと思います。

これらはすべて、対症療法的ではなく、病気の解決につながる方法、つまり何度もお薬で抑えては再発を繰り返していたものを、再発をさせないようにする最善の方法と言えます。

呼吸法

呼吸法

呼吸とは、私たちが生きるために必要な活動であることは誰もが分かっています。

私たちは呼吸をすることで身体の中にある要らなくなった二酸化炭素を排出し、酸素を取り込みます。

この活動は、心臓などほかの生命維持活動を行う臓器と同じく、私たちが起きている間も、寝ている間も続きます。

しかし他の臓器と決定的に違うことは、心臓は自分の意思で動かすことは出来ませんが、呼吸はゆっくり呼吸したり、早めたりすることができます。

つまり、呼吸は意識してコントロールすることが唯一可能な生命維持活動なのです。

そして呼吸は自分の精神状態も反映します。

悩んでいるときはため息が出るし、悲しくて泣いているときには呼吸も乱れます。

気持ちが落ち込んでいるとき、不安を抱えているとき、呼吸は浅く、息苦しくなります。

この呼吸は、過去をさかのぼること古代ギリシャ神話の時代「プシュケー」と呼ばれていました。

そしてプシュケーという言葉は、「心」「魂」も意味していました。

心の状態を反映するこの呼吸の活動が心そのものであると理解されていた過去があるのです。

その証拠に、心理学は英訳するとPsychologyですが、psychoの語源はこのプシュケーになります。

このように、呼吸は私たちの心理に密接に関わっていて、実際に私たちの目で見ることができ、コントロールできる活動なのです。

この呼吸を整える方法を身につけることで、私たちは精神状態をもコントロールできるのです。

その具体的な方法とは、マインドフルネス瞑想で身につけることができます。

マインドフルネス瞑想法

ピラミッド

マインドフルネス瞑想法とは、簡単に言うと注意集中のトレーニングになります。

注意集中している自分をあたかも実況中継しているように観察し続けるのです。

姿勢としては、座禅を組んだり、横になった状態で、呼吸に注意を集中し続けます。

呼吸を吸ったり、吐いたりをゆっくり、何度も繰り返し、その呼吸が流れている様を観察し続けます。

観察とは、鼻や喉のとおりに注意を向けて、空気が流れていることを感じることです。

「あ、今鼻の奥から肺へ流れていった」「横隔膜が上がっている」といったことを感じるのです。

そしてその間、雑念が頭の中に流れてきても、それをそのままにして、とらわれないようにするのです。

こんな簡単な事、誰でもできるよ

と思われたあなたは、まず15分、実践してみてください。

例えば、

「今日の夕飯何にしようかな」

「子供たちは今頃何しているかな」

「首の痛みが気になる・・」

いろいろな雑念、考えが沸き起こってくるはずです。

その考えを追わずにいてください。

浮かんでくる考え、雑念にとらわれず、また見ないように努力するわけではなく、ビデオをみているように眺めていてください。

最初はすごく難しいことがわかると思います。

マインドフルネス瞑想法で非常にユニークなものとしては、「食べる瞑想」があります。

食べる瞑想とは、例えばレーズン、麦チョコなどを一粒とって、まずよく観察し、においを嗅ぐのです。そして手でレーズンを運ぶ瞬間、それとともに唾が口の中をいきわたるのをじっくりと感じます。唇にレーズンを運び、唇にのせ、ゆっくり噛み砕いていきます。

そして、飲み込む瞬間もじっくりと口の中や食道を通る感触を確かめます。

こんな風にして、食べることはめったにありませんよね。

食べることについても、私たちは自動操縦されているために、じっくり感じたり味わったりすることがありませんので非常に新鮮に感じると思います。

私も、マインドフルネスの実習に参加した際には、(レーズンではありませんでしたが)新鮮な気持ちになりました。

この食べる瞑想もそうですが、マインドフルネス瞑想では、「いまここ」に注意を集中していく作業をします。

呼吸に意識を向けることは、まさに今起きていることに注目することになり、未来のことや過去のことなどを自動的に思い煩ってしまう自分に気づかれると思います。

呼吸に注意を集中すると、いろいろな雑念が浮かんでは消え、浮かんでは消え、、という様子に気づかれたら自然と湧き上がる考えや感情をまるで雲を眺めているように観察し続けることで過去や未来への不安にとらわれることがなくなっていきます

不安や落ち込み、恐れ、イライラなどの感情に圧倒されることがなくなるのです。

認知療法で言えば、瞑想中に自然に沸き起こっている観念が自動思考なのですから、それを雲を眺めるように観察する、つまり執着もせず囚われもせずにいるということが自然にうつ病を軽減させることになります。

マインドフルネス瞑想法について詳しくはこちら

首こりを解消する

首凝り

様々な心身の症状に対して首へのケアが大切だ!と歌っているのは、最近よくメディアに出演していらっしゃる整形外科医の山田朱織先生。

山田先生は、様々な著書で首コリまたは首の姿勢を良くすれば、様々な体調が良くなるとおっしゃっています。

首の姿勢の悪さと関係する症状が以下のように挙げられています。

慢性的な頭痛

目の奥の痛み

歯の痛み。歯ぎしり

顎の痛み

前胸部の張りや痛み

猫背

手の指先に力が入らない

朝起きた時、疲れが取れない

いびきで悩んでいる

めまいや立ちくらみに襲われる

プチうつのような症状

頭や顔などの首の上で起こる症状にも、胸や背中など首の下で起こる症状にも、倦怠感など全身で感じる症状にも、そしてプチうつといった心の病にも、首姿勢の悪さは影響を及ぼしているのです。

(引用:山田朱織 2013 首こりは3秒で治る! フォレスト出版)

とあります。

約5キロ程もする重い頭を支える首は、負担は非常に大きく、首こりを解消するためのケアは大切であると仰っていますが、それは確かに頷けますね。

2足歩行する人間は、首によってバランスを保っているわけですから。

パニック障害も自律神経失調症もうつ病もみな、自律神経の乱れが原因で、日常生活に支障が起きていますが、心身症においても自律神経を整えることは重要であり、それがひいては身体症状の緩和につながるものと思われます。

自律神経症状さえ対処できれば、困っている症状はほぼうまく解消されていきます。(ただし、根本的な心理的な問題はその次に対応することになります。)

自律神経は解剖学的にも理解が進み、視床下部で指令で出ていること、中枢系から末梢系にいたるまで各臓器へ神経は張り巡らされています。

そして、交感神経によって活動性が維持され、副交感神経によって身体の休息が促進されます。

起きて活動している時は交感神経が働き、夜眠る時間になると副交感神経が働くことで、効率的に身体が機能しているんです。

人体ってよくできてる!って思いますよね。

あなたも不眠で悩まれたことはあるのではないでしょうか。

自律神経の乱れで一番わかりやすいのは不眠です。

ストレスを感じると、多くは不眠(時に過眠もあります)を訴えます。

「家族のことをいろいろと考えて眠れなくなっている」

「家の借金のことで頭がいっぱい」

「彼氏に振られてしまった・・」

「仕事で抱えているプロジェクトが大きくて常に安心して眠れない」

「医師からがんかもしれないと言われ、その結果が出るまで眠れない日々だった」

などなど、個人によって様々な悩みがありますが理由が、それらの心理的圧迫が影響して、身体症状に発展していくわけです。

自律神経は、ストレスが多い現代社会では鍛えたり、ケアをしていく必要が出てくるわけなのですね。

自律神経を整える良い方法には何があるのか、気になりますよね。

自律神経を整える方法には何があるのか?

多くの患者さんたちは背景に心理的な問題があると指摘を受けたとしても、「心理的問題についてどうにかしたい」というより、「身体症状をまず和らげたい」と思っています。

今まさに困っていることは、「からだの症状」であって、「背景の心理的問題」ではないからです。

もちろん、のちのち背景の心理的問題へ取り組むことになりますが、それは生活上の安全、安定が得られて初めてできることです。

これを読んでくださっているあなたも同じだと思います。

カウンセラーや医師に、心理的問題について取り組むように言われても、「まずは生活しなきゃ」「仕事しなきゃ」「痛みをとらなきゃ」と思っているはずです。

金本博明氏の「自律神経失調症・パニック障害改善プログラム」は、継続もしやすく取り組みやすい、自律神経を整えるのに高い効果を発揮してくれるプログラムだと思います。

運動を取り入れる

ウォーキング

うつ病の治療に、有酸素運動を取り入れるのはメジャーになってきていますが、もしあなたがメンタル面での問題を感じている、うつ症状や不安があるのであれば、それについてもおそらく効果を発揮するだろうと考えます。
以下は、その効果について取りまとめた文献の要約部分になっています。

運動の不安軽減効果及びうつ軽減効果について、先行研究を精査して再検討した結果、以下のような要約を得た。

(1)運動は小から中等度の不安軽減効果があり、他の精神療法等と同等の効果がある。

(2)運動は中等度のうつ軽減効果があり、他の精神療法などと同等の効果がある。

(3)不安軽減を引き出す運動の種類は、有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、ランニング等)と非有酸素運動(レジスタンス/ウエイト・トレーニング等)である。それらの運動強度・時間・頻度・期間は、50%~70%HRMax・30分以上・3回/週・8週間以上 である。

(4)うつ軽減を引き出す運動の種類は、有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、ランニング等)と非有酸素運動(レジスタンス/ウエイト・トレーニングなどである。それらの運動強度・時間・頻度・期間は、50~70%HRMax・30分以上・3回/週・8週間以上 である。

(5)運動の不安軽減効果とうつ軽減効果は、一過性の運動、継続的な運動、両性、各種年齢集団に当てはまる。

(6)運動は不安及びうつを増悪させない。

(引用:青木邦男 2002 運動の不安軽減効果及びうつ軽減効果に関する文献研究 山口県立大学大学院論集 第3号 p37-45)

とあり、青木先生のまとめによれば、週に3回、30分以上の運動(有酸素運動や非有酸素運動)を取り入れることで、うつ症状や不安症状を軽減できると言っています。

ただし、重度なうつ状態では推奨されていないこと、オーバートレーニングや過労、不注意などによる外傷や障害に注意が必要です。

パワーオブコントロールするには

ボクササイズ女性

これまで、心身症の原因や治療について、セルフケアについてなどご紹介してきました。

私が話した通りに一つ一つ丁寧に対応していけば、この病気は克服されるでしょう。

しかし、さらに一番大切なことがあります。

それは、お薬や病院に行くことや誰かに相談すること、適切な方法で対処すること以上に、重要なものです。

それは心身症は克服できるという自分の信念です。

どうせこれまで直らなかったし、何をやっても無理だろう。

ずっと悩まされてきた、だから今回も治るはずがない。

という気持ちでいれば、それはすなわちコントロールすることを放棄し、舵取りを障害に委ねてしまっていることになります。

そうすれば、自ずと良くなるものも決して良くはならないのです。

まずは、パワーをこちら側へもどしましょう

そうすれば、決戦は近いでしょう。

「自分で治すんだ!」「良くするんだ!」という強い気持ちは、何よりも効果的なオクスリだと私は思います。

オンオフの切り替えとストレスの解消法

休む女性

仕事人間で休みの時も仕事のことが頭にある人、持ち帰って仕事をしている人は少なからずいらっしゃると思います。

また、休む暇のない専業主婦の皆さんも、毎日家事や育児に追われてしまっていることでしょう。

私自身も、家庭ある身ですが、家事や育児に加えて仕事もあると、やはりパートナーからの理解がメンタルヘルスを維持するためには重要になります。

時間に追われる私たち現代人は、オンオフの切り替えが下手になってきていると感じます。

インターネットの発達でどこでも仕事が可能になります。

携帯電話の普及でどこにいても相手がつかまります。

必要なことはメールで送れば、時間など気にする必要は最低限になるでしょう。

そのような中で、私たちは意識して「休むこと」と「活動(仕事)」とをわける必要があります

仕事中は、交感神経が亢進している状態が続きますから、エネルギーが消耗し続けることになります。

家でのんびり過ごす、好きな本や雑誌を読み耽る、友人とカフェtimeをする、スポーツをして体を動かす、家族とゆっくり過ごす、公園をお散歩する、など、リラックスする時間を設けましょう。

この時に大切な事は、「時間をきっかりと区切ること」「場所を区切ること」「携帯電話など連絡のとれるものは手元に置かないこと」がポイントです。

その他、朝はちゃんと起きて生活リズムは規則正しくすること、休むの時間に仕事を持ち込まないこと、十分に楽しめるように携帯をオフにしておくこと、などがあげられます。

そして、ストレス解消するためには、一つはモノの見方・考え方をポジティブに意識することです。

どれだけ楽しいことでも、めんどうだな、と思えばストレスに変わってしまいます。

「億劫だな」と思うよりは「友達と楽しい時間を過ごせる」と前向きに考えて行動することで、ストレス発散効果は高まっていきます。

生活リズムを整える

伊勢の朝日

心身症の方は、多くの場合仕事などを背負いがちになります。それによって睡眠時間や食事の時間がずれてきてしまうことは多いでしょう。

そういったことを踏まえ、生活リズムを整えることは非常に大切なことです。

生活リズムが乱れること自体がストレス源になってしまうからです。

まず、睡眠時間を一定にする努力をしましょう。

夜勤などがある仕事をされている場合、午前中のうちに一度仮眠をとり、その後、適度な時間(夜の9時など)に就寝するようにしましょう。

そうすることで睡眠のリズムのパターンが崩れにくくなります。

また、食事も三食とるように心がけましょう。朝食を抜いたり、夜中にたくさん食べたりするのはお勧めできません。

決まった時間に食事を摂れない場合、夜中などは消化の良い食材を食べるようにしましょう。

心身の調子がひどく悪い時に

クマのできた男性

心身の症状を和らげる方法や、予防する方法というのは、お互いの人間関係を見直しストレスを減らすことや、自分の物事のとらえ方を確認してポジティブなものに変えることなどによって時間をかけて効果を発揮していくものだと思います。

それは、ある程度症状が安定している状況で取り組めるものだと思いますから、心身の調子が悪い、痛みが強い、倦怠感が強いなどの場合には、そのような悠長なことは言っていられませんね。

このような緊急対応時にはどうすればよいでしょうか。

まず何よりも大切なことは、休養をとることです。

まずは3日の休養をとっても心身の調子が回復しないのであれば対応に工夫が必要になります。

アロマオイルを利用する

アロマオイル

アロマオイルは長い歴史があり、現在でもイギリスなどの海外の医療現場では補完代替療法として十分に力を発揮しています。

そしてアロマオイルには様々な種類があります。

自律神経に働きかけ、元気を与えてくれる

リラックスを促進し、緊張や不安を和らげる

不眠に効果がある

肩こりや頭痛などに効く

皮膚のトラブルに効く

空気を綺麗にして感染症対策とする

いろいろな効能があるので、選ぶのが大変だと思います。

心身症の方は、ご自身の身体症状や精神症状に合わせてお使いになると良いと思います。

詳しくはこちらをご覧下さい。

体質を変えられる食材を選ぶ

厨房

あなたは「心身一如」という言葉を聞いたことがありますか?

この言葉は、東洋医学的な考え方です。心と体は繋がっていて、お互いに影響し合うものだという考え方です。

自律神経失調症や心身症などは、心の問題が身体的な症状として現れているため、まさにこの考え方と合致する症状なんですね。

西洋医学的な視点では、心と体は別のものである(心身二元論)という考え方が根強くあって、そのために身体の治療と心の治療は切り離されていることが多いです。

しかし、東洋医学的な考え方を基本にすると、身体を改善すれば心も調子が良くなる、心の調子を整えれば身体の調子も良くなる、ということになります。

ですから、食事をとるという行為から、心身状態を改善することができるというのが、東洋医学的な思想での「食養生」と言えます。

まず、私たちの身体について、東洋医学的な視点でひも解いていきましょう。

東洋医学において、内臓のことを臓腑(ぞうふ)と総称します。

そして私たちの身体を構成する臓器は、5つの「臓」と6つの「腑」に分けられます。

臓とはふくろ状になっていて、それぞれが体の機能維持に必要な活動を行っています。

腑は、食べ物を消化・吸収することを助ける働きをし、食べ物の通り道だと言われます。

臓は、「心」・「肺」・「脾」・「肝」・「腎」 の5つ

腑は、「胆」・「胃」・「小腸」・「大腸」・「膀胱」・「三焦」 の6つ

これら5臓6腑は以下のような対応関係・ペアになっており、一方が他方へ強く影響を及ぼし合う関係になっています。

肝⇔胆、脾⇔胃、心⇔小腸、肺⇔大腸、腎⇔膀胱、心包⇔三焦

例えば「肺」の病気がある方が大腸での不具合「便秘」をすると、その肺の病気も悪化してしまう、、といった具合です。

風邪をひくと、おなかを下すことがありますよね?その関係性のことをいいます。

腎(腎臓)と膀胱は、イメージしやすいのですが、「心」と「小腸」は意外な組み合わせに感じますね。

東洋医学では、「五行説」という中国で生まれた考え方に基づいて、病気を理解したり、治療方針について決定していきます。

その五行とは「木」・「火」・「土」・「金」・「水」であり、それぞれ5臓の性質を5行に当てはめて考えることができます。

木:樹木のイメージ。木が成長していくように、上方へ、外方へと伸びていく性質。季節は春。五臓は肝。

火:燃えさかる火のイメージ。物を温める性質。季節は夏。五臓は心。

土:大地のイメージ。大地に種子をまき、収穫させることから物事を生み、変化をさせる性質を指す。季節は長夏。五臓は脾。

金:金属のイメージ。堅牢で冷たく、収斂する性質がある。季節は秋。五臓は肺。

水:泉から湧き出る水のイメージ。生命の源であり、下方向に流れ下る性質を持つ。季節は冬。五臓は腎。

引用:

このようにして、私たちの身体(内臓)と五行とが分類されています。

そして、この5行説の考え方では、季節、食べ物などのあらゆるものを5つに分類しています。

その分類を確認しながら、五行相生説や五行相克説を基にして、どこに焦点を絞って治療・養生を行えばよいかがわかるようになっています。

スライド1

(五行相生説・五行相克説)

また、語性(ごせい)と語味(ごみ)という概念から、食べ物の性質を理解し、活用することができます。

語性とは、5つに分類されています。「寒」・「涼」・「平」・「温」・「熱」の5つです。

この5つは、身体を温めたり冷やしたりして、身体を調整します。

寒(かん):体を強く冷やす。利尿作用。

涼(りょう):体を冷やす。鎮静作用。

のぼせやほてりの時・血熱や熱邪の時・クールダウンの作用

平(へい):どちらでもない

温(おん):体を温める。身体を活性化する。

熱(ねつ):身体を強く温める作用がある。発汗作用や興奮することがある。

体が冷えている時・気虚や血虚で使用。気や血のめぐりが良くなって体調改善する。

語味とは、食べ物の味に関係しています。それぞれの味は、身体へ様々な作用をもたらします。

対応する五臓へ特に作用するといわれています。

辛(しん):肺と関係。停滞する気や血の流れを改善する。

酸(さん):肝と関係。汗や尿、鼻水などそとへ漏れ出す時に。引き締め作用がある。

甘(かん):脾と関係。血を補う・緊張緩和。鎮痛。

苦(く):心と関係。デトックス作用。熱を下げる、むくみの解消など。

鹹(かん):腎と関係。固いものを柔らかくする。デトックス。便秘などに。

身体の状態に合わせて、語性の特徴を持つ食べ物、五味の特徴を持つ食べ物を食することにより体調が改善されていくと言われています。

そのような食生活の仕方で、体質改善や病気の予防を行うことを食養生といいます。

一番簡単な食養生の方法は、住んでいる地域でとれる食物を食べることだと言われています。

その地域でとれる旬の食物、例えば沖縄は日差しが暑いですから、身体を冷やすことが必要になります。

その時に現地でとれたきゅうりやバナナ、スイカなどを食べるといいわけです。

それでは、身体を冷やす食べ物と温める食べものを挙げていきます。

熱の性質の食べ物:唐辛子、ニンニク、コショウ

温の性質の食べ物:ショウガ、シソ、ニラ、黒糖

身体を冷やす食べ物

涼の性質の食べ物:豆腐、緑茶、ナス、セロリ、小松菜

寒の性質の食べ物:きゅうり、バナナ、もやし、スイカ、キウイ

五味の性質より

鼻水、汗、出血、下痢などの時:引き締め作用のある酸の食べ物をとるといい
→トマト、イチゴ、りんご、アボガド、グレープフルーツ

便秘やむくみを改善したい時:デトックス作用のある苦の食べ物をとるといい
→ゴーヤー、コーヒーや緑茶、紅茶

筋肉の緊張をとりたい時、鎮痛したい時:血を補い、緊張緩和する甘をとるといい
→サケ、卵、ニンジン、マグロ、砂糖、大豆

かぜのひきはじめに:気や血の停滞を改善する辛の食物をとるといい
→シソ、大根、ニンニク、タマネギ、ショウガ、パクチー

便秘や肩こりの時に:固まっているものをやわらかくし、おろす作用のある鹹(塩辛い)の食べ物をとるといい

イカ、昆布、塩、アサリ、エビ

ツボを刺激する

鍼灸

東洋医学には、経絡とツボという考え方があります。

経絡とは、身体のなかをめぐる気や血の通路のことを指しています。

血とは、血液と似ていますが、それとは違っているのですね。

気や血を、身体の各臓器(五臓六腑)、皮膚や筋肉へと繋げる役割を担っています。

気や血は、流れが悪かったり、滞ったりする性質があるようです。

ですから、その滞った場所では臓器の不調が起こるとされています。

しかし、臓器へ触れることはできませんから、経絡を通じてその臓器につながる身体の表面部分を刺激することで治療をするのがつぼ療法です。

経絡・ツボを通して、身体のバランスが悪くなっているところを調整していきます。

臓器とツボとのつながりを理解するためには、経脈について知る必要があります。

経脈とは、身体の縦方向に伸びているもので経絡の仲間になります。

経絡は12本あって、それぞれ手足の指などの末端とつながり全身をつなげています。

正経一二経脈

手の太陰肺経

手の陽明大腸経

足の陽明胃経

足の太陰脾経

手の少陰心経

手の太陽小腸経

足の太陽膀胱経

足の少陰腎経

手の厥陰心包経

手の少陽三焦経

足の少陽胆経

足の厥陰肝経

経脈の名称について

(経脈の名称について)

経脈のすぐ上にある皮膚に刺激を与えると、その刺激は経脈に伝わり、それぞれの臓器へ到達していきます。

ツボとは、この経脈が通っているポイントを意味しています。そこを押したり、お灸をすえたり、鍼を指すことで、ツボを通じて経脈を刺激して、その奥にある臓器に届くというわけです。

例えば、足首とすねの間にある「三陰交」というツボを刺激します。

そこは、3つの経脈が交わっている部分と言われ、特に生理不順や生理痛など婦人科系の症状に効果を発揮します。

このように、身体の表面を刺激することで、身体の奥にある臓器の不調を改善することができます。

不眠に良いと言われるツボをお伝えしたいと思います。

かかとの真ん中にある「失眠(しつみん)」

耳の後ろの出っ張った骨の一寸下にある「安眠(あんみん)」

両方とも、眠りに関係しそうな名前ですよね。安眠のツボを刺激するとリラックス効果が高いと言われています。ここは、心身の疲労をとる、リラックスをするためにも良い効果があり、恐らく「気」を作るためのベースができるのだと思います。

疲れた時や、寝不足のとき、疲労回復したいときにはぜひ奇穴(安眠)を刺激してみてください。

また、「百会(ひゃくえ)」は両耳を結ぶ線と身体の中央を走る線をちょうど交差させた場所にありますが、ここも安眠の効果があると言われてます。

また、身体的不調に良いと言われるツボをいくつか紹介します。

詳しくはこちらをご覧下さい。

終わりに

ハーブ(画像)

このような長い記事を最後まで読んでくださってありがとうございます。

あなたの症状が和らぎ、少しでも自己実現のできる人生を進められますようにお手伝いができれば嬉しく思います。

記事にあるように一つ一つ丁寧に対応していけば、きっと症状は解決するはずです。ぜひ、実践してみてくださいね。

 

 

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