うつ病って甘えなんじゃないの?と思われる時の接し方。日内変動から解説

pazuru

うつ病は2008年の厚生労働省の統計によると、104万人が治療をうけており、一生のうち6人に1人がうつ病を罹うといわれるほど頻度の高い病気です。

うつ病の患者数に増えたこと、「うつ病は心の風邪である」といわれ、病気の認知度があがり、誰もが知っている病気になってきました。

そして、特に過剰労働や対人関係の問題から労働環境においてうつ病が発症することが多いこともわかってきました

政府は方針として、労働環境におけるうつ病の予防や対策を講じる必要があるとして職場の管理者はその対応をしなければならない、ということになっています。

これは、労働安全衛生法といって、働く人の安全を保持するための法律がありますが、これには労働者の身体的・精神的な安全を保つ義務が管理者にはあるとし、精神面の安全も含まれています。

平成26年6月には、都道府県労働局長あてに通達も届いており、第66条の10 第1項に関係するものとして、「心理的な負担の程度を把握するための検査等」が平成26年から義務的に導入される見込みです。

つまり、医師や保健師等が職場と連携して、心理検査を実施して、「(例えば)うつ病になっている時、なりそうな時」に、適切に介入をし、職場の働いている人の精神衛生を保てるように配慮していく、ということです。

うつ病などのメンタルヘルスの問題を抱えている方に対し、医療機関へつなぐといった橋渡しの機能を果たして、うつ病などによる「自殺」「過労死」をふせごうということで、とても素晴らしい試みだと思います。

うつ病はひどい場合には自殺にまで追い込んでしまう精神状態に陥ります。

「大切な命」ですから、苦しい時を乗り越えれば、全うな判断ができますけれども、つらい時、うつを患ってしまって、思考力や判断力が低下している状況下では判断を誤ることはあります

心理検査は、その水際対策ともいえますね。

話が逸れましたが、このようにして増加しているうつ病へ対処するために、国をあげて対応をしようとし、病院や職場も体制を整備していっています。

職場の風景

そんな中、その流れについてこれていないのが、実際にかかわる立場の方々です

医療者については、「うつ病」について知識を持ち、対応スキルも身に着けたうえで対応しているから良いのですが、一般の職場環境において、例えば人事担当になると、そのようなケースに対応していくことになります。

また、働いている部署にうつ病を患った方がいる場合には、いろいろな気持ちになるでしょう。

「どう対応したらいいの?」「接し方は?」「うつ病って甘えじゃないの?」などなど疑問があると思います。

このような疑問にお答えすることで、実際に対応する際に困っていらっしゃる方に「サポートの仕方」などの知識やスキルを身に着けていただきたいと考え、記事にしたいと思います。

周囲の対応スキルがあがることで、患者さんが偏見に晒される機会は減り、適切に対処していただけるようになると思います。

うつ病についておさらい

落ち込む女性(画像)

まず、うつ病についておさらいをしてみましょう。
うつ病の病気の特徴については、以前の記事でご紹介をしました。

詳しくはこちら→うつ病の症状と改善するための治療方法について

簡単に言うと、うつ病とは、気分の落ち込みを主として、感情・意欲の障害、思考の障害、身体症状を呈する病態です。

感情の障害については、抑うつ気分、孤独感、不安や自分を責めてしまう、罪悪感などの感情を感じやすい状態、常にそれを感じている状態になります。

そのような気分が背景にあることで、考え方も悪循環に陥りがちです。

「私には何の価値もない」「周りに迷惑をかけている」など、物事に対してはネガティブにとらえやすいといえます。

そして、意欲の障害は、疲れやすい、やる気が起きない、活動を開始するのがおっくうになっている、動けない、などが典型的です。

身体症状としては、不眠、倦怠感、頭痛、肩こりなどがあげられます。

これらの症状は、朝方が強く生じていて、夕方になると和らいでいきます。

接し方については、まず彼らの病態を理解することが先決です

上記のような症状を抱えているうつ病の患者さんは、通常の健康な状態とは全く異なっているわけです。

例えば、うつ病のA子さんについて、みていきましょう。

社内の同僚がうつ病になっている時

うつ病と言われ、しばらく休職していたA子さんが復職してきました。

だいぶ精神的には穏やかになってきたらしいと上司に聞きました。

以前から、昼食を一緒に食べていたB代・C絵さんは、A子さんを再びランチに誘います。

B代さん:お昼食べに外に行かない?

A子さん:今日は遠慮します

しばらく数日、同様のことが続き、B代さんは次第に避けられているような気がしてきました。

会話もそっけなく、目も合わせない彼女に、B代さんは困惑します。

相談役としていた保健師に相談してみました。

B代さん:A子さんって調子はどうなんですか?

最近、避けられているように感じるし、でも誘わないのも変だし。

困っています。

保健師:個人的なことだから言えないけど。

ただ、うつ病になると、対人交流をおっくうに感じたり、ネガティブに感じやすいので、自分を守るために、関わろうとしていないのかもしれないよ。

 

解説します。

A子さんの心理状態ははっきりとわかりませんが、うつ病に起因する精神状態の変調が避けている理由である可能性はあります。

B代さんは普段通りに接しようとしたのに、A子さんがこれまでと違う対応であるので、戸惑っているわけです。

他に理由がないとすれば、うつ病の問題があるはずなので、保健師は、それを基にアドバイスをしていました。

感情や意欲の障害があるため、B代さんに関わらず誰に対しても、「おっくうさ」「マイナス思考」は存在することが考えられます。

私たちは、個人的な感情がありますから、「私のことが嫌いになったのかな」と思ってしまいがちです。

しかし、「この人は、今は誰とも対応ができない心理状態なんだ」と理解することで、だいぶ楽になれるのではないでしょうか

もちろん、「一部の人とは話すのに」という状況もあり、一概には言えないのかもしれません。

それでも、「私とは接するのがしんどいんだな」と思うことで、だいぶ楽になれます。

というのは、人は誰しも承認欲求を持っています

人から認められたいという欲求です。

これは、友人関係、同僚の関係においても認められるものですが、どのような理由であれ、拒否をされると傷つくし、落ち込みます。

特にそれが好意のある相手であればなおさらです。

しかし、「うつ病」に罹ってしまった方については、モノの見方が基本的にマイナス思考になります。

それは病気の影響で、脳内の伝達物質の不足による症状なんですね。

そう考えると、「私のことが嫌いになったのか」ではなく、「この人はいま、病気の影響で余裕がないんだ」ととらえることで、自分自身が相手とラクな関係でいられます

上の例では、B代さんはA子さんのことをよく気にかけていたからこそ、避けられることはショックだったでしょう。

しかし、少し距離を持った視点でお互いの関係を見つめてみるとだいぶ精神的なダメージが減ります

次の相談事例

ブランコ(画像)

部下がなかなか出社してこない・・

うつ病にかかった部下D君が半年休職し、この春から戻ってきています。

もともと頑張り屋の社員であり、病気が治って戻ってくることに皆期待していました。

最初の1週間、通常通り勤務していたが、遅刻が次第に増えていき、2か月目になると午後からの出社に転じました。

本人に確認すると、「朝、行ける時は行きたいと思います。休んでしまってすみません」という返事であり、休ませることもできず、時間通りに来ることもできず、で他の社員にも示しがつかず、困っています。

同僚E男さん:D君、復職してまだ1か月もたたないのに、今週はもう3日休んでいますよ。

来た時は元気なんだよね。

実際のところ、意志の問題なんじゃないですか

同僚F太:D君は、先週末一緒に食事に行きましたけど、まあまあ元気でしたよ。

ずっと休みもらっていたんで、やっぱり甘えみたいなのがどこかにあるんじゃないですかね

という同僚の辛口な意見にどう対応したらよいのか?

上司は悩んだ末、知り合いの産業医に聞いてみました。

産業医:D君のことはわからないが、一般的にうつ病では日内変動があるので、朝が調子が悪い人は多いです。

それに職場の中では体調が悪いけど、職場外では元気があるっていうケースもよく散見されます。

しかしこれは、嘘をついているわけではなく、実際に体調に現れるんです。

職場の中がストレスだった場合には、職場外では適応的になることも多いんですよ

以下に解説をしていきます。

うつ病は、日内変動のある病気です。

朝方が体調が一番悪くて、午後になると調子がゆっくり戻ってくるという具合です。

病院の診察で、「朝は起きるのはつらいですか」といった質問が出るほど、うつ病においてポピュラーな症状なのですね。

本人に対する医療機関からのアドバイスとしては、規則正しい生活をするようにと言われることが多いです。

しかしだからといって夜遅くまで起きてテレビを見ているから、朝が起きれない、とは一般的には言えません。(そういうケースももちろんありますが)

意図せずして崩れてしまうのがうつ病なのです。

さらに言うと、エネルギーの枯渇状態といえます。

うつ病の多くは、真面目で几帳面、頑張り屋という人が多いのですが、それによって頑張り過ぎて果てた状態がうつだと言えます

休んでも休んでも足りない、という状況なのです。

先の上司は、単純に本人に確認することで、「仕事に出れるのか、出れないのか」を決めて方針を決めていければ、周囲の同僚たちからの辛口な意見もなくなるだろうと考えただろうと思います。

ただ、先も述べたように朝動けない、気分が悪いというのがうつ病ですから、「朝、行けない」のは明白です。

しかし、本人は元来頑張り屋さんであり、なんとかできるところまで、やり遂げたいと考えていることでしょう。

しかも、判断力の低下も認められれば、「上司の立場」を考えるゆとりはないかもしれません。

そうすると、その方のペースに任せることになります。

その場合には、一度主治医へ確認をとることです。

「朝来ていないが、本人は大丈夫、なんとか行ける時は来たいという。

どうしたらよいか」

しかしそれでは、医師も「本人のペースでできる範囲で」

としか答えようがありません。

大事なのは、職場として、上司として、同僚として、どうしてほしいかを示すことです。

「頑張っているのはわかるが、午前これないのであれば、午後からと明確に決めていただくと社員も理解しやすいと思う」とか

「午前通勤できないのであれば、仕事に影響がある。しばらく休んでみてはどうか」など。

一方的に患者さんが能力がない、配慮が足りない、作業効率が悪い、などと不定するだけではうまくいきません。

また一方で患者さんの気持ちを大切にするあまり、余地を超えて対応し、結局このままでは受け入れ続けられないとなることも避けたいはずです。

双方できちんと話し合って、考えや気持ちを共有していただくことが大切だと思います。

医師(画像)

いかがでしたでしょうか。

少ない事例ですが、上記の例にはうつ病患者さんへどう対処するべきかのエッセンスが盛り込まれています。

  • 患者さんに対して、「患者としての視点」をとりいれること
  • 以前とは異なった状態にあるので、「本人もわかっているだろう」と過信せず、ちゃんと伝えるなどの接し方を変えること

はとても有用な方法だと思います。

そのようにすることで困っていらっしゃるうつ病患者さんも対人トラブルなどを抱えずにすみ、お互いに楽に過ごせます。

ぜひ、取り入れていってほしいなと思います。

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