うつ病による症状の原因と克服する方法

shoujougeiin

これまで順風満帆な人生を歩んできたはずなのに突然の体調不良に見舞われ、仕事や学業、家事ができなくなってしまった・・。

「何かの病気だろうか?」「どうなってしまったんだろうか?自分の身体はおかしくなってしまった・・・」

このように考えて不安になっている方もいらっしゃるでしょう。

もしかするとそれは、うつ病の徴候なのかもしれません。

多くの人は「まさか自分がうつ病になんて」と思っています。うつ病になるだろう、と考える人はいません。

色々と調べた結果、病院も転々とした結果、うつ病が発見されるということは良く聞く話です。

それでは、うつ病とはいったい何なのでしょうか?

うつ病とは

クマのできた男性

「夜、眠れない日々が続いている」

「毎日、忙しすぎて疲れていて、好きだった番組にも全く興味が無くなった」

「食欲がなくなった」

「月曜日の朝がとてもおっくうで仕事に行きたくない」

もし、このようなことがあなたに起きていたら、もしかするとそれはうつ病の兆しかもしれません。

うつ病は、こころの病(精神科で治療が必要な病気)のことであり、一般的に言う「落ち込み」とは違います。

私たちは、何か仕事で失敗した、恋人にフラれた、試験に落ちた、同僚とうまくいかない、親に叱られた・・など様々な日常的な体験から落ち込んだり悲しんだりすることがあります。

これは誰にでも起こりうることで、「弱いから落ち込むんだ」というわけではありません。

同様に、うつ病として病気の水準になったとしても然りです。人にはそれぞれストレス耐性といってストレスに耐える能力があります。

それには個人差がありますが、一定以上のストレスがかかってくると、誰でも病気レベルのうつ病になりえます。

ただし、病気になった場合には、自然に放置しても良くなるものではないので、病院などで相談や受療する必要性が出てきます。

それでは、うつ病とはどんな病気なのでしょうか。

うつ病は実は種類があります。

  • 内因性うつ病
  • 心因性うつ病
  • 身体因性うつ病

これらは、うつ病になる背景が異なり、治療方法も変化します。

内因性うつ病は、原因が遺伝的な要素が大きく影響しています。

これには2種類あって、単極性うつ病と双極性うつ病とに分かれます。

双極性というのは、鬱と躁の2つの気分状態が入れ替わることを言います。

気分が落ち込みふさぎ込むような状態をうつ状態といいますが、一方でその極である気分が爽快で過活動な状態、行き過ぎると対人トラブルや問題行動に発展してしまうのが躁状態です。

これは、発症のきっかけにはストレスが影響すると言われますが、環境に影響されるよりも自分自身の体内リズムの変化に応じて上下するものなのだそうです。

ですから、一番大切な治療法はお薬をきちんと服用するということと、生活リズムが崩れないようにするということです。

心因性うつ病とは、精神的なストレスが主な原因となり生じるうつ病のことです。

ですから、ストレスとなっていることを取り除くことでうつ病は改善していきます。

逆に言うとどんなにお薬などで治療を重ねたとしても、ストレスのある環境におかれたままでは決して良くなることが期待できない、ということになります。

最後の身体因性うつ病とは、身体的な変化が原因となってうつ状態になることを言います。

例えば、器質性うつ病とは脳の病気によって起きるうつ病ですし、身体疾患にともなって起きるうつ病や投薬治療中のお薬に反応したり、アルコール依存症に伴ううつ病も身体因性うつ病といえるでしょう(アルコール依存症はうつ病と関係が深いとされています)。

これらは、身体的な問題が取り除かれると改善することが見込めますが、病気に伴っている場合には長い間付き合っていくことを余儀なくされる場合もあります。

以上、見てきたようにうつ病といってもその背景によって病名は違いますし、治療方法も異なってきます。

精神科では、どのようにしてその病気を診断するかというとDSMというマニュアルを参考にしています。

カルテと聴診器

うつ病の診断基準について、参考までに以下に載せておきます。

大うつ病エピソード

A.以下の症状のうち5つ(またはそれ以上)が同じ2週間の間に存在し、病前の機能から変化を起こしている;これらの症状のうち少なくとも一つは、(1)抑うつ気分または(2)興味又は喜びの喪失である。

(1)その人自身の言明(例えば、悲しみまたは空虚感を感じる)か、他者の観察(例えば、涙を流しているように見える)によって示される、ほとんど一日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。

※小児や青年ではいらいらした気分もありうる。

(2)ほとんど一日中、ほとんど毎日の、すべて、又はほとんどすべての活動における興味、喜びの著しい減退(その人の言明、または他者の観察によって示される)。

(3)食事療法をしていないのに、著しい体重減少、あるいは体重増加(例えば、1か月で体重の5%以上の変化)、またはほとんど毎日の、食欲の減退または増加。
※小児の場合、期待される体重増加がみられないことも考慮せよ。

(4)ほとんど毎日の不眠または睡眠過多。

(5)ほとんど毎日の精神運動性焦躁または制止(他者によって観察可能で、ただ単に落着きがないとか、のろくなったという主観的感覚でないもの)。

(6)ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退。

(7)ほとんど毎日の無価値観、または過剰であるか不適切な罪責感(妄想的であることもある)、(単に自分をとがめたり、病気になったことに対する罪の意識ではない)。

(8)思考力や集中力の減退、または、決断困難がほとんど毎日認められる(その人自身の言明による、または、他者によって観察される)。

(9)死についての反復思考(死の恐怖だけではない)、特別な計画はないが反復的な自殺念慮、自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画。

B.症状は混合性エピソードの基準を満たさない

C. 症状は臨床的に著しい苦痛または、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

D.症状は、物質(例:乱用薬物、投薬)の直接的な生理学的作用、または一般身体疾患(例:甲状腺機能低下症)によるものではない。

E.症状は死別反応ではうまく説明されない。すなわち、愛する者を失った後、症状が2か月を超えて続くか、または著名な機能不全、無価値観への病的なとらわれ、自殺念慮、精神病性の症状、精神運動制止があることで特徴づけられる。

躁病エピソード

A.気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的または易怒的ないつもとは異なった期間が、少なくとも1週間持続する(入院治療が必要な場合はいかなる期間でもよい)。

B.気分の障害の期間中、以下の症状のうち3つ(またはそれ以上)が持続しており(気分が単に易怒的な場合は4つ)、はっきりと認められる程度に存在している。

(1)自尊心の肥大、または誇大。

(2)睡眠欲求の減少(例えば、3時間眠っただけで良く休めたと感じる)

(3)普段よりも多弁であるか、しゃべり続けようとする心迫。

(4)観念奔逸、またはいくつもの考えが競い合っているという主観的な体験。

(5)注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でない関係のない外的刺激に転導される)。

(6)目標志向性の活動(社会的、職業または学校内、性的のいずれか)の増加、または精神運動性の焦燥。

(7)まずい結果になる可能性が高い快楽的活動に熱中すること(例えば、制御のきかない買い漁り、性的無分別、馬鹿げた商売への投資などに専念すること)。

C.症状は混合性エピソードの基準を満たさない

D.気分の障害は、職業的機能や日常の社会活動または他者との人間関係に著しい障害を起こすほど、または自己または他者を傷つけるのを防ぐために入院が必要であるほど重篤であるか、または精神病性の特徴が存在する

E.症状は物質(例:乱用薬物、投薬、あるいは他の治療)の直接的な生理学的な作用や一般身体疾患(例:甲状腺機能亢進症)によるものではない。

混合性エピソード

A.少なくとも1週間の間、ほとんど毎日、躁病エピソードの基準と大うつ病エピソードの基準を(期間を除いて)ともに満たす。

B.気分の障害は、職業的機能や日常の社会的活動または他者との人間関係に著しい障害を起こすほど、あるいは自己または他者を傷つけるのを防ぐため入院が必要であるほど重篤であるか、または精神病性の特徴が存在する。

C.その症状は、物質の直接的な生理学的作用(例:乱用薬物、投薬、またはほかの治療)、または一般身体疾患(例:甲状腺機能亢進症)によるものではない。

これら3つのエピソードの組み合わせによって、単極性うつ病、双極性障害とに分かれます。

大うつエピソードがある人は単極性うつ病と診断される可能性があり、大うつ病エピソードに躁病エピソードも認められると双極性障害と診断される可能性があります。

身体症状の特徴

シニア風邪

うつ病になって初めに気づかれることとして、身体症状があります。

頭痛、肩こり、便秘や下痢などの消化器症状、寝つきが悪くなる・途中で目が覚める・朝早くから目が覚めてしまうということから不眠になる、性欲が低下する、食欲が低下し、体重が落ちる、動悸や息切れ、倦怠感など・・様々な身体症状が挙げられます。

そして、うつ病のなかには「仮面うつ病」といって、うつ病の特徴である精神症状(気分の落ち込みや意欲の減退など)が見られない種類のうつ病もあります。

仮面うつ病は、身体的な症状が顕著に目立っているケースです。

仮面というのは、身体症状で精神症状をマスクしてしまうためにこのように呼ばれています。

本当は気分の沈み込みが背景にはあるけれども軽症であるため、本人がそれを自覚できず、なかなか発見することができません。

それで、根本的な治療を受けることができずに身体症状が長引いてしまうことが言われています。

内科などを受診している間に、治療効果が上がらないことから、内科医師から精神科受診を勧められたり、指示を受けることで精神科や心療内科を受診するに至り、診断がつけられるということがよくあります。

ご自身の症状で気になった場合には、身体症状の原因が不明であること、治療を重ねても良くならないこと があれば、受診を検討したほうが良いでしょう。

心理的な特徴

男性と影(画像)

うつ病になりやすいといわれる性格特徴としては、社交的、真面目で几帳面など、いわゆる「いい人」がなりやすいと言われます。

社交的で明るく陽気な方は例えば対人関係の問題を抱えた時にうつになることがありますし、真面目で几帳面な方は仕事などで業務を請け負いやすく、業務過多になってしまって心身共に疲弊しうつ病になることが挙げられます。

そして、うつ病になると「特徴的な考え方」をします。

これは心理学者による多くの研究によって積み重ねられ、抽出されてきたものです。

まず、ベックが提唱している有名な「認知の歪み理論」によれば、うつ病の本質は感情状態を決定する「認知」の障害であるということです。

自動思考と認知の三大徴候について取り上げたいと思います。

抑うつ的な考え方は、その人が意識して考えるわけではなく、自動的に浮かび上がってくるもので、これを自動思考といいます。

この自動思考は、自己・世界・未来という3つの領域にわたって、ネガティブな思考内容で占められてしまいます

これをベックは抑うつ認知の三大徴候と呼びました。

そしてその次にうつ病患者さんに特徴的なのは以下の誤った推論のパターンです。

恣意的な推論をする:証拠がないのにネガティブな結論だけを引き出すこと。

(例) 友達にランチの誘いを断られただけで、「友達は私のことを嫌いになった」と推論する。

選択的注目:明らかに目立って顕著なこと、明白なことには目を向けず、些細なネガティブなことだけを重視する。

(例) 人事考課の中で一つだけ評価が低いものがあったので、「私は能力を認められていない。会社からの評価が低い」と結論付ける。

過度の一般化:わずかな経験から、広範囲のことを恣意的に結論づけてしまうこと。

(例)女性にフラれてしまった男子学生が、「もう自分は結婚もできないに違いない」と思い込んでしまう。

拡大解釈と過小評価:物事の重要性や意義の評価を誤ること。

(例)男性にフラれてしまったある女性が、「自分の人生は波乱に満ちていて失敗だらけだ」と拡大解釈してしまう

個人化:自分に関係のないネガティブな出来事を自分に関係づけて考える。

(例)所属するチームが試合に負けた時、「自分のせいで試合に負けてしまったんだ」と考える。

完全主義・二分法的思考:物事の白黒をつけないと気が済まないこと。

(例) キャリアウーマンが出産を予定している時、育児と仕事で悩み「育児が完璧にできないなら仕事は辞めるべき」といった極端な思考が見られる。

以上は例ですが、このように、うつ病患者さんは極端な思考様式を持っていると言われています。

うつ病への治療はこの極端な思考様式を柔軟なものに再インストールすることが大切です。

3つめに、うつ病患者さんは、特徴的な認知的構えを持っているといいます。

これは、抑うつスキーマと呼ばれるもので、「いつも~だ」「AかBのどちらかしか選択肢はない」「~すべきである」といった固まった認知的枠組みを持っているため、ストレスに耐える力が低くなってしまいます。

抑うつスキーマと自動思考の関係ですが、ネガティブな体験をしたとき、抑うつスキーマが活性化し、その結果自動思考を生じてくると言われています。

「ネガティブな体験」→「抑うつスキーマの活性」→「自動思考の発生」→「抑うつ気分」

行動的な特徴

落ち込む女性(画像)

よく見られる行動特徴として、うつ病になると寝つきが悪くなります。

これはいろんなことが背景にありますが、ストレスによって「考えごとをしていて」眠れない場合もありますし、毎日残業も重なって忙しく仕事をし続けてきたがゆえに、自律神経のバランスが悪くなって「特に考え事をしているわけではないけど」眠ろうと思ってもなかなか寝付けなくなることがあります。

眠りにつくというのは、普段活動している間は交感神経が優位になり、ゆっくり休むときは副交感神経が優位になるわけですが、副交感神経よりも交感神経がずっと高ぶっている場合に、「眠りたいのに眠れない」ということが起きてきます。

そして、うつ病の特徴として、朝方に心身の調子が悪く、夕方にかけて体調が良くなるという特徴があります。

ですから、一般的にある午前中からのお仕事をされている場合、午前中に起きられなくて、朝寝坊する、仕事に遅刻する、仕事へ行けなくなる、午前中は集中力が続かない、ということがみられます。

また、治療経過からみた行動特徴としては、治療前は動けないほどに辛く、身の回りのことすらできないような状態にあったとしても、治療が進んできて回復してくると自分の身の回りのことができるようになるなど、はた目には良くなっていることが実感できます。

しかしながら、実際にはまだまだ回復の過程にあります。

そして実は自殺の危険が高まるのは回復のころだと言われます。

周囲からも励ましの声があったり、「はやく復帰しなきゃ」という本人の焦りや不安が重なって衝動的に自殺企図する場合があるのです。

ですから、この時期の患者さんへの声掛け、見守りには十分配慮してあげてほしいと思います。

そしてこの状態は必ず良くなるものなので、見通しをしっかりと持ち、一時的なものだと捉えてじっくり待つ姿勢が大切です。

本当に回復してきたという兆しが見えるのは、焦りが無くなり、「もう少し休んでから復帰しよう」と考えられるようになった頃です。

トンネルの先は必ず明けますので、焦らずに休養しながら待ちましょう。

うつ病と自律神経失調症の違い

考える女性

まず、うつ病については上記でご説明した通りです。

うつ病はひどく気分が落ち込んだり意欲が低下するなどの精神面の症状が強く現れる病気です。

しかし近年では、うつ病が軽症化、身体化する傾向があり、精神症状より倦怠感、頭痛、動悸、不眠、食欲低下、息苦しさといった身体面の不調が強く現れるケースが増えてきています(身体化とは、気分の症状とは異なり、心理的なことが影響して身体的な症状を生じることを言います)。

そして、身体症状が前面に出て、精神症状がみえにくくなる状況が時々みられます。先ほども述べましたがこれを「仮面うつ病」と呼びます。

同じような身体症状がある場合でも、背景にある病気が異なっているので、それぞれ違ったアプローチが必要になってきます。

仮面うつ病の場合には、身体へのケアでもなく、自律神経失調症でもなく、うつ病に対するアプローチを適切に行うことが大切になってきます。

というのは、仮面うつ病は、自律神経失調症と誤診されることがしばしばあるのです。

これは症状の経過を見ながら判断されていくこともありますが、身体的治療として長い経過を追っても、症状に変化がなく、治療方針も変わらないような場合には、実は背景に隠れた精神疾患を見逃している場合もあります。

その際には、思い切って主治医を変えることも良い方法だと思われます。

それでは、うつ病と自律神経失調症の違いをまとめていきましょう。

うつ病:気分の落ち込みや意欲の低下などの精神症状が背景にある。

不眠や頭痛などの身体症状が付随する場合も認められる。同様の状況がおおむね2週間以上続いている。

自律神経失調症:定義があいまいである。

心理的問題から起因する身体症状がみられる。

心理的問題とは、感情を言語化できないこと、ストレスを抑圧で対処する傾向があること、身体感覚への自覚が乏しいこと

などがあげられます。

それでは、具体的な事例を通して 違いを学んでみましょう。

ケース1

B夫さん(男性、30代、会社員)は、先日主任から課長へ昇進が決まりました。

奥さんもすごく喜んでくれています。課長へ昇進してから、新しいプロジェクトも任され、張り切っています。

毎日残業が続いていますが、「結果を出すため」と頑張っています。

しかし、思うように結果がついてこないことから焦りも見え始めました。

3か月が過ぎたある日、微熱が続いていましたが、「疲れがたまっているな」と思い、気に留めず毎日残業を続けていました。

ところがある日、ひどい頭痛と肩こりを感じました。

妻:「今日は休んだら?」

B夫:「いや、今日もやることがあるし、アポイントもある。休むわけにはいかないよ」

それから3か月後。成績は思うように伸びない中、部署内でトラブルが発生します。

うまくトラブルを回避できなかったことで、社内ではB夫さんを批判する声も少なからず聞こえてきました。

B夫:「自分は能力が足りないのではないか」「自分がもっと頑張れば」

という気持ちに苛まれるようになります。

その1か月後、B夫さんは朝ひどい倦怠感で起きられなくなります。

心配になった奥さんが話を聞いてみると

妻:「無理しすぎなんじゃないの?今日はお休みしましょうよ」

B夫さん:「大したこともしていないのに、動けなくなるなんて。情けない・・。自分は課長の職は合わないのかもしれない。」

動けなくなり、微熱や頭痛が続いているB夫さんが1週間休んだある日のこと

B夫さん:「自分はもうだめかもしれない。社会になんの役にも立っていない。」「家でもこうやってゴロゴロして。自分はいないほうがいいのかもしれない」

心配になった奥さんは、B夫さんを心療内科へ連れて行きました。

ケース2

C美さん(女性、20代、事務員)は、小規模な会社で事務員として働いています。

同じ業務を担当している女性3人とともに業務をしています。

いつもの社内の昼食時間、一緒にランチタイムをしていた同僚E子さんとF代さんが、ささいなことで気まずい雰囲気になり、その後お互いに避けるようになりました。

気にかけたC美さんは、気遣っていましたが、関係はもとに戻りません。

同じ社内であるため、一緒に業務を同じ部屋でこなすのですが、3名とも会話もなく、話しかけづらい雰囲気のまま1か月が過ぎました。

「元のように皆で仲良くやれればいいんだけど・・」と思うのですが、それを誰かに相談することもありませんでした。

C美さんは「他人に話したところで、相手も迷惑だろう」と考えていたのです。

とはいうものの、親しい友人には状況を話していました。

友人:間に挟まれて大変だったね。そんなことがあったんだ!

C美:大変だったのかな?よくわかんない。でもよく考えたら、彼女たちもストレスがたまっていたらしいんだよね。

と話し、どこか他人ごとのようでもあり、「こんなことがあった」と状況説明はできても、その時に感じた気持ちを素直に表出することはできませんでした。

どこかで、「怒りや悲しみを出すのは恥ずかしい」「怒りや悲しみを他人に見せてはいけない」と感じていたようです。

また、ケンカや対立が苦手で、良い雰囲気で過ごしたいという思いが強いため、他の人に気持ちをぶつけることはこれまでもしてきませんでした。

しかし、問題は解決されず、半年が過ぎました。

ある日、C美さんは体調の変化に気づきます。

倦怠感が強く、朝起きられなくなります。

胃のムカムカやめまいが一日中続いているのです。

気分が悪いため、職場を早退し、病院受診しました。

※上記2つのケースは、同様に身体症状を表していますが、その後のアプローチは変わってきます。

ケース1の続き

B夫さんは、心療内科を受診しました。

主治医とのやりとりでは以下のようなことが話されていました。

精神科医師:「どのようなことにお困りですか」

B夫さん:「将来について、良いイメージが持てない。自分はこれから悪い方にしか行かないと思う」「生きていても仕方がないんじゃないか」

と話し、過去・現在・未来についてのネガティブな思考 が認められました。

彼はうつ病であると診断されます。

うつ病の場合、「認知の歪み」があると言われます。

この認知の歪みは、個人個人が持っている考え方や価値観のバイアスを生みます。

B夫さんの場合、ネガティブな発言が顕著だったことから先に心療内科を受診しましたが、実際には身体を調べて回った後にわかることが多いですし、精神科医師から、「まず体に病気などが隠れていないか調べてもらいましょう」といって、検査を勧められることもあります。

ケース2の続き

C美さんは病院受診後、「異常なし」と診断されます。

ホッとしましたが、その後も時々症状が出たり、無くなったりが続いていました。

何度か通院していると、内科の主治医から心療内科を受診するように勧められます。

精神科医師:「お困りなことは何かありませんか」

C美さん:「特に何も困っていないですね。倦怠感が良くなれば、仕事もスムーズにできると思いますけど」

精神科医師:「胃が痛くなるとき、その前でも、何かストレスに感じることはありませんでしたか」

C美さん:「普段から嫌だなと思うことがあまりないんですよ」

精神科医師:「最近の変わったことは?」

C美さん:「最近、同僚の人間関係がギクシャクするようになりました。」

精神科医師:「それで」

C美さん:「私はできるだけ、普通に過ごしてほしいんですけど。それぞれ仲直りをしてくれないので」

精神科医師:「それであなたはどんな気持ちなんですか」

C美さん:「私ですか?私は・・そうですね。特にありません。とにかく、二人が話ができるようになってくれれば解決すると思います」

C美さんは、自分の環境を表現することができませんでした。

明らかに困っている、しんどい ような状況でもそれを認めることができません。

その後、自律神経の機能を調べる検査が行われ、C美さんの身体症状は、自律神経失調症によるものと診断されます。

二人の症状はそれぞれ、「朝起きられない」といった身体症状によるものから始まりました。

しかし、身体面の検査をして、異常がないこと、本人が感じていることや感情の状態などの経過をおいながら診断がついてくることになります。

二次的に悪化する要因

休む女性

うつ病と診断されると、多くの場合、現在の学業環境や仕事環境から離れて休養することが求められます。

しかし、何か不安を抱えていると休養することをためらう場合があります。

もちろん、任されている仕事を人に任せるわけですから、気楽なわけにはいきませんね。

しかし、この休養を中途半端に行うことはよくありません。

うつ病の治療の柱は薬物療法と休養だと言われます。

休養して、枯渇してしまったエネルギーを充電する期間がなければ、だらだらとうつ病が遷延しかねません。

本当に仕事や学業から離れることで自分を見つめることになりますし、仕事の忙しさによって見えなくなっていた自分の感覚や感情を素直に感じることができるようになります。

そしてもう一つは、アルコールの問題です。お酒はどこでも手に入りますし、いろいろな社交の場で飲まれるような飲み物です。

脳内へ快感をもたらすアルコール飲料は、眠れない患者、快刺激の足りなくなっている患者さんははまってしまうことがあります。

飲むたびに耐性がついて、量を増やさなければ同じような酩酊効果が得られないことから、どんどん酒量は増えていく一方です。

アルコールとうつ病は関連があると報告されていますから、お酒に頼ることは身体的にも悪影響ですし、うつ病の治療を妨げる可能性もあります。

アルコールは適量で、用途に気を付けましょう

うつ病を改善する方法

ボクササイズ女性

うつ病と長らく付き合ってきているあなたでしたら、きっと一般的なことはご存じでしょう。

復習・確認をしたいと思いますが・・

うつ病の治療の柱は、先ほども申し上げたように、薬物療法と休養、そして環境調整です。
薬物療法については、こちらから詳しく確認できます。

うつ病は、脳内の神経伝達物質の異常から生じていますので、その神経伝達物質のバランスを整えることが必要になります。

そして薬物療法と同じくらいに大切な休養。

この休養は、うつ病になった理由であるストレッサーから物理的に距離をとるようにすることを目的とし、かつエネルギーの充電をすることになります。

いくら本人に合う薬物を見つけたとしても、ストレスが強いままではうつ病はよくなりません。

これを踏まえ、今度はうつ病を改善するためにできることを上げていきたいと思います。

自己理解すること

小学生と看護師

まず、薬物療法にて症状が改善し、ある程度落ち着いてきた頃には、今度は予防にもつながるケアを実施しなくてはいけません

その一つが自己理解することです。

先ほどあげましたように、うつ病になりやすい性格特徴をあげました。

これより、ストレス対処(コーピングといいます)の方法を再度確認していくことが大切です。

そのために、自分自身の性格はどのような性格特徴なのか。うつ病になりやすい素因はないか確認していきます。

うつ病になりやすい性格とはどのような性格なのでしょうか。

以下に、クレッチマーの性格分類を取り上げます。

循環気質:①社交的、親切、善良、温和、②陽気、ユーモアに富む、活発、せっかち、③もの静か、悲観的、弱気、陰気 躁うつ病との関連

分裂気質:①非社交的、まじめ、孤独、もの静か、②臆病、内気、過敏、興奮しやすい、自然や読書を好む、③勇敢で物おじしない、従順、善良、鈍感 統合失調症との関連

粘着気質:①綿密、几帳面、秩序を好む、熱中しやすい、②回りくどい、しつこい、がんこ、丁寧、③興奮しやすい、短気、気分が変わりやすい てんかんとの関連

(クレッチマーは、人の気質を3つのタイプに分けて病気との関連を指摘していましたが、必ず病気になるというわけではありません。)

また、日本の精神医学者下田が提唱した「執着性格」とは、躁うつ病に見られる性格特徴のことで、責任感が強い、几帳面、まじめ、仕事熱心などが挙げられています。

徹底的にやり抜き、手抜きをしないような人の中にうつ病になる人が出てくるといっています。

最後にドイツの精神医学者より、「メランコリー親和型性格」があげられています。

これは、保守的、秩序やルールを忠実に守ろうとする姿勢がある。人に頼まれると断れない性格で、人とぶつかる場面では自らが折れることが多いです。

上記のように、クレッチマーの循環気質、下田が提唱した「執着性格」、テレンバッハが提唱したメランコリー親和型性格はそれぞれ、社会的には認められるような性格特徴ですから、なかなか変えようと考えることはないかもしれません。

ただし、これがうつ病の発症に関わっている場合にはぜひ、変容させることも必要になってきます。

ストレスについて知る

ストレス男女(画像)

あなたはストレスを普段感じる場面がありますか?

ストレスとは厳密にはストレス反応のことを指します。

ストレスとは、引っ越しや昇進といった日常にあるささいな変化から、家族と離別したり病気をしたりなどの大きな変化も含めて、周囲や環境から何らかの圧力(ストレッサー)が加わったときに起こる「私たち自身の内部から生じる歪み」のことをいいます。

歪みと言うとわかりづらいかもしれません。

私たちのことを丸い空気の入ったボウルに例えると理解しやすいと思います。

ボールは外から力が加わると凹んで変形しますね。そして、ボールは元に戻ろうとして内部から押し返す力がうまれて、拮抗状態になります。

これを心理学ではストレス反応といいます。

具体的な場面でいうと、高校受験に惜しくも失敗してしまった場合・・。

頑張った分だけ、非常に気持ちが滅入ると思います。

その時、受験の失敗がボールをへこませる外からの圧力であり、ボールが凹んでいたのを押し返そうとする力が「気分が滅入る」ことに当てはまります。

このように理解すると、気分がめいるのも、元の状態に戻るため(ストレス状態から元に戻るため)の人の反応といえます。

そう考えると、落ち込むべき時には十分に落ち込んだほうが良いし、悲しい時はたくさん泣いたほうが良いのですね。

そして以下の一覧は、人々にとってストレッサーとなる出来事を数値で表しています。

このストレッサーは日常生活のささいな出来事から、人生での大きな変化まで幅広い範囲にわたっており、生活に影響を与えます。

以下の一覧の表す数値の意味は、結婚してから普通の生活に戻るまでを50だとしたら・・、という設定でアンケートを施したものです。

例えば、結婚後から日常の状態に戻るのが50であるのに対し、配偶者が亡くなってから元の普通の生活状態に戻るには、100という高得点になっています。

どのような出来事が、どれくらいストレス度合が高いのか理解することが大切です。

また、過去一年間の間に下記のストレッサーの合計が200-299点あると、50%の人が、300点以上ある場合は、80%の人がその後の一年間に心身の健康障害を起こす可能性があります。
あなたの得点はいかがですか?

出来事 ストレス(%)

配偶者の死  100

離婚  73

配偶者との別れ  65

拘禁  63

親密な家族メンバーの死  63

怪我や病気  53

結婚  50

職を失うこと  47

引退  45

家族メンバーの健康上の変化  44

妊娠  40

性的な障害  39

新しい家族メンバーの獲得  39

職業上の再適応  39

経済上の変化  38

親密な友人の死  37

仕事・職業上の方針の変更  36

配偶者とのトラブル  35

借金が1万ドル以上に及ぶ  31

借金やローンのトラブル  30

仕事上の責任のトラブル  29

息子や娘が家を離れる  29

法律上のトラブル・親戚とのトラブル  29

特別な成功  28

妻が働き始めるか、仕事を辞める  26

学校に行き始めるか、辞める  26

生活条件の変化  25

個人的な習慣の変更  24

職場の上役とのトラブル  23

労働時間や労働条件の変化  20

住居の変化  20

転校 20

気晴らしの変化 19

宗教活動の変化 19

社会活動の変化 19

1万ドル以下のローン 17

睡眠習慣の変化 16

同居家族数の変化 15

食習慣の変化 15

休暇 13

クリスマス 12

軽度の法律違反 11

(Miller,M.A. & Rahe,R.H. 1997 Life changes scaling for the 1990s’. Journal of Psychosomatic Research 43 pp279-292 )

心理と行動と症状の関係

ブランコ(画像)

うつ病になった時、あなた自身の物事のとらえ方が非常にネガティブなものになることを体験しているはずです。

なかなかそこから抜け出せなくて困っているだろうと思います。

しかし、ある行動によって沈んでいたうつ病の状態が軽減することがあります。

その方法とは、ロールプレイです。

あなたはロールプレイをしたことがありますか?

ロールプレイとは、実際にある役柄になりきって、困難な場面や葛藤する場面などを想定し、そこでいろんな役を演じるというものです。

例えば、あなたが上司に注意を受けた場面を想像しましょう。

あなたは落ち込んで肩を起こし、注意を受けてから数日はずっと下を向く..というような状況です。

「どうしてうちの上司はいつも私のことをわかってくれないんだろう」と考え、「他の社員よりも自分のことが嫌いなんだろう」と考えます。

しかし、もしあなたがその状況で上司だったらどうでしょう。

叱る上司の気持ちもよく理解できるはずです。

そうすることで、「自分はダメなんだ」と勝手に認定していたあなたは、「上司の気持ちや立場を考えると仕方ない」とより常識的な考えができるようになってきたのです。

このように、頭だけで考えても答えは出てきませんが、実際に相手の立場に立ってみることで視野が広がることは良くあります。

うつ病になるとどうしても視野が狭くなりがちで、ネガティブなほうへ引っ張られてしまいます。

ぜひ、視点を広げられるような工夫をすると良いでしょう。

薬物療法との付き合い方

薬剤師(画像)

多くの方が病院で医師から処方される薬物療法による経験をお持ちだと思います。

そしてその治療の中核である薬物療法の効果は、強く感じられることもあれば、効き方がマイルドで、「効いているのかいないのか、いまいちよくわからない」ということもあります。

そのような場合には、ぜひ主治医にその気持ちを正直にお伝えすることです。

薬物はたくさんの種類があります。

その中からあなたにあったもの、量を試行錯誤して見つけなければなりません。

正直にお話することで、より高い治療効果が望めます。

また、うつ病の薬物療法は長期にわたります。

そのため、自己中断するケースも多いと言います。

「もう大丈夫だから」「仕事にも行けるようになったから」という理由で、自分で判断して通院を止めてしまうのです。

うつ病はしっかりと治療しなければ、再発しやすい病気です。

ですから、医師の指示に従ってお薬を少しずつ減薬していくのがいいでしょう。

しかし、一体どの場面でお薬の減量や中断を主治医へ提案したらいいのでしょう?

一番のタイミングの目安はあなた自身が「そろそろ社会参加したい」という気持ちが芽生えてきた時です。

まずは手始めにこのような提案を主治医へしてみましょう。

そして、主治医の意見があるはずです。それに納得できればそこまで待ちます。

多くの場合、うつ病の患者さんは早く社会復帰したいと望みます。

少し体調が改善してきた頃、「そろそろ大丈夫だろう」と思うわけです。

ただ、それはまだ時期尚早かもしれません。そのころが一番、自殺企図の恐れがあると言われているのです。

ですから、基本的には主治医の意見にちゃんと耳を傾け、指示を守りましょう。

しかし、主治医との話し合いも常に平行線である場合には、そもそものお互いの信頼関係はどうなのか見直しましょう。

もし、理解してもらっている感じがしない、ただルーチンワークで仕事されている気がする、話し合いができないのであれば、一度主治医の変更を申し出てみてもいいかもしれません。

精神科や心療内科の主治医との関係で大切なのは相性ですから、合わないこともあります。

そして、もし主治医の治療方針がわかりにくい・・という場合、さらに踏み込んで「先生はどのようになれば良くなっていると判断しますか?」と聞いてみるのも一つの手です。

より具体的に話してもらうことで、あなた自身の目標もできます。

そのようにして主治医ともやりとりをしながら、お薬の減量につなげられればいいのではないでしょうか。

お薬を減らしながらやることは、あなた自身と向き合うことです。

もしクリニックにカウンセラーがいるならば紹介をしてもらいましょう。

もちろん、症状が落ち着き、程度が軽くなってからでなければカウンセリング導入されることはできません。

カウンセラーがいない場合には別の私設の相談所を紹介してもらうこともあります。(その場合には、多くが保険がきかないため自費診療になります)

もしくは、ご自身で対応していくこともいいでしょう。

カウンセリングも心理療法も、最終的にはご本人が自分の力で人生をコントロールすることを目標にしています

例えばカウンセラーの私がずっと、あなたのそばにいてサポートすることはできないのです。

セルフケアに向けて、このブログを読んで実践したり、書籍を手にするのもいいでしょう。

そして、あなたが対処できる、あなたが合うと思える方法を身に着けるといいと思います。

認知の修正によって症状を改善する

自転車(画像)

それでは、具体的にどのようにして症状を改善させていけばいいのでしょうか。

まず、うつ病を改善していくためにはあなた自身の考え方のクセを見つけることから始めます

まず、自己モニタリングという手法を通して考えましょう。

活動記録SS

(自己モニタリングに使用するワークシート例)

抑うつ気分を感じた場面を思い出します。

その時あなたはどんなことを考えましたか?

どんな気持ちや気分になりましたか?

これを把握してうまく対処できるようになることは、症状悪化を防ぐことに繋がります。

あなた自身が考えのクセを見つけて、それをポジティブなものに変換させる作業を行います。

自己モニタリングシートを利用して、考え方のクセに気づいて、それがネガティブで破局的で危険をテーマにしているものであれば修正することで症状の改善が期待できます。

・「私には連絡がなかった。私はきっと嫌われているだろう」 → 「忘れてしまったか、何か都合があったのかもしれない」

・「仕事の進度が遅れてしまった。きっと失敗するだろう」 → 「この部分はうまくいっていないが、その他はうまく進んでいる」

・「もうダメだ」 → 「大部分が失敗でも、一部分は成功したはずだ」

・「うまくいくはずがない」 → 「ここを修正すれば良かった」

・「絶対に失敗するだろう」 → 「これまで失敗しなかったこともあった」

このような形で、あなたの偏った考え方を修正することで、抑うつ気分が軽減されていきます。

行動の修正によって症状を改善する

ウォーキング

うつ病の薬物療法や休養、環境調整がひと段落し、予防的なアプローチを考えはじめた頃。

大切になるのは、生活リズムを整えることです。

生活リズムを整えるのは、生体内のリズムを整えることになります。

気分の変調しやすさが穏やかになる作用があります。

うつ病の治療の一つに、光療法があります。蛍光灯などの光を多く照射することで、体内リズムが整い、うつ病が改善するということです。

人の体内リズムは25時間なので、一日24時間である生活時間とはどうしてもずれやすいのですが光を浴びることでそれが整うのです。

生活リズムを整えれば、朝太陽の光を浴びることで光療法と同様な効果が得られます。

リラクセーションの技法を取り入れる

胸を開く

リラクセーションの方法を身に着けておくことは、健康な人も病気のある人にとっても有効な対処方法です。

うつ病は交感神経が亢進している状態といえます。

それに対処している間、身体は非常に消耗しています。

病気を自分の中に取り込み、コントロールしていくためには消耗や疲労をしていてはいけません。

そのためにも休養してエネルギーを蓄える必要があるのです。

さらにリラクセーションを取り入れて副交感神経の働きを活性化させ、疲労や消耗を和らげて、うつ病に打ち勝つ身体を作っていきましょう。

ご紹介するのは、心理療法の中でもポピュラーな「自律訓練法」です。

自律訓練法は、自律神経のバランスを整える方法です。

パニック障害は、自律神経のバランスが崩れ、常に交感神経が優位になった状態です。

これを意のままにコントロールできればパニック障害を和らげることができるはずです。

方法について説明していきます。

自律訓練を始める前に、漸進的筋弛緩という方法を取り入れると自律訓練によるリラクセーション効果を十二分に感じることができます。

【漸進的筋弛緩】

椅子に腰かけた状態でいましょう。

リラックスして座っていてください。

最初に両肩をぐっと上にあげてみましょう。

5秒程度、両腕は下ろしたままで首をすくめるようにして両肩を上にあげて、一気にストンと下に落とします。

重力に引っ張られるようにストン!!と落とします。

そうすると、凝っていた肩が緩んで弛緩した状態になりますね。

このように筋肉に力を入れたり、抜いたりする作業を足先から頭のてっぺんまで実施していきます。

両脚の指をぐっと内側に丸めるようにして力をいれ(5秒程度)、ストン!と力を抜きます。

両脚全体(足首から太ももまで)をぐっと力をいれ(5秒程度)、ストン!と力を抜きます。

お尻の穴をキュッと閉め、お尻や臀部にぐっと力をいれます(5秒程度)、その後ストン!と力を抜きます。

その後息を止めて、おなかと背中にぐっと力を居れます(5秒程度)、その後ストン!と力を抜きます。

握りこぶしを作って両腕全体にぐっと力をいれます(5秒程度)、その後ストン!と力を抜き両腕を膝の上におろします。

両肩を上にあげ、肩や首周りにぐっと力を居れます(5秒程度)、その後ストン!と力を抜いて両肩を落とします。

梅干を食べている時のように、顔をぐっとすぼめてみます(5秒程度)、その後ストン!と力を抜きます。

この方法を実践して後すぐに、リラックスした態勢のまま、自律訓練を行います。

自立訓練には、背景公式と標準公式とがあります。

自律訓練法は佐々木による説明では積み上げ方式と呼んでいます。

積み上げ方式とは、一つをクリアできたら、それにさらに上の段階の公式を積み上げていくことです。

背景公式 気持ちが落ち着いている

標準公式(1) 両手両足が重たい

標準公式(2) 両手両足が温かい

標準公式(3) 心臓が自然に静かに規則的に打っている

標準公式(4) 自然に楽に息をしている

標準公式(5) お腹が温かい

標準公式(6) 額が冷たくて涼しい

深呼吸を3回を繰り返し、その後普通の呼吸に戻します。そして目を閉じて、背景公式を唱えていきます。

「気持ちが落ち着いている・・気持ちが落ち着いている・・」と4-5回繰り返します。

まずは、重感練習から始めます。利き腕ほうが効果が出やすいので利き腕から・・

1.「気持ちが落ち着いている・・気持ちが落ち着いている・・」

2.「右腕が重たい・・右腕が重たい・・」

を何度か繰り返した後、消去動作を行います。

どうでしたか?右腕は重たくなったでしょうか。

1→2→1→2→・・・消去動作

消去動作とは、両手で握りこぶしを作り、グーパーグーパーと開かせ、両腕を曲げたり延ばしたりして、最後には背伸びをします。

これをすることで、副交感神経が優位になっていた状態から交感神経にスイッチされます。

睡眠前には消去動作は要りませんが普段起きている時間帯では、自律訓練の後には消去動作を実施しましょう。

これまで一緒に自律訓練に取り組んだ患者さんからは、高血圧で困っていらっしゃったのですが、実際に自律神経の反応として血圧の低下が見られたほか、「性格が丸くなった」という家族の印象報告もあり、身体的&心理的な効果も期待できます。

対人関係

人間関係(画像)

症状の改善に向けて様々な側面から実践をしていただくと、それまでうつ病を患ったためにうまくいかなかった、

もしくは直面せずにすんでいた対人関係の問題が表立って出てくることがよくあります。

うつ病の発症経緯を見てもそうです。

多くの場合、発症にはストレスが関与しています。

ストレスの多くは人間関係が影響しますから、その人間関係から自分自身を保護する役割として病気がある場合もあるのです。

これを「疾病利得」といいます。

疾病利得とは、病気であることによって本人に利益となることをさします。

病気をして仕事を休むことで、職場の煩わしい人間関係から一時的に解放されるといったことがそうです。

また、昇進という嬉しい変化があったものの、うまく部下を動かすことができなかったり、依頼される仕事を断れなかったりなど、職場に行くことが億劫になっていったということもあるかもしれません。

もし病気が治ってしまったら、この人間関係や仕事に再度向き合わなくてはならないのです。

今挙げたことは一例であり、これに似たような状況や、そのほかの対人関係の問題が雲隠れしている場合があります。

実はこれらの多くは、あなたの病気を回復させる妨げになってしまっています

ですので、しっかりと向き合い対処していくことが大切です。

対人関係の問題は、一度あなたの対人関係の持ち方を振り返り「棚卸する」ことが有効です。

あなたの人間関係を見直して、人間関係ストレスを減らしうつ病の再発予防をしましょう!

自身の対人関係を理解する

シニア夫婦(画像)

あなたにとってキーパーソンは誰ですか?

キーパーソンは医療の現場でよく使う用語です。

治療の方針を決める時など、入院中の患者さんのキーパーソンを呼び、ムンテラ(主治医による説明)をします。

この場合は家族がキーになることが多いです。

ここでいうキーパーソンは、少し意味合いが違います。

私たち人間は社会的動物ですから、人との関係なくしては生きていけません。

いつも私たちは人を意識して生活をしています。

おしゃれをする理由は?誰かにみてもらって、褒めてもらいたいからです。

かっこいい車に乗りたいのはなぜ?他の人とは違う自分をみてもらいたいからです。

全てがそうであるというつもりはありませんが、生理的欲求よりも上位の欲求は他の人がいてこそ実現することに意味があるわけです。

そして、より理想的な対人関係の在り方とは以下のようなサークルに重要度に合わせて対人関係を整理できることです。

人間関係のサークル

(図 人間関係のサークル)

真ん中のサークルには、恋人や親友、両親、配偶者などが入るかも知れません。

中間のサークルには、友人や同級生、祖父母などが入るかもしれません。

一番外側のサークルには、同僚など職場の人間関係が入るかもしれません。

あなたのサークルはどうですか?

このサークルの中に対人関係をバランスよく整理することができていれば、非常に精神的に健康度が高いと言えます。

一方、偏っていたり、位置が逆転してしまうと不健康に陥りやすいと考えらえます。

例えば、サークルの中心に家族を配置しているB子さん。

彼女は夫と共働きですが、出産を機に仕事を辞めることにしました。

仕事よりも家族という構図がもともとしっかりとあったので、元々仕事は好きでしたが一時的に辞め、子どもが小学校に入るころに復職するまで、子育てを満喫することができました。

一方のC実さんは、バリバリのキャリアウーマンでした。

夫もよく理解をしてくれ、帰宅時間はいつも深夜であり、食事はコンビニ弁当でした。

ある時、妊娠が発覚し、出産後育児休暇をとりました。

育児休暇中も仕事があたまから離れず、子どもがいう事を聞かないことに腹を立てて怒ってばかりでした。

早く戻らないと自分のポジションは誰かに奪われてしまうのではないか?そんな気もちで育児に専念できるはずもありません。

小さな我が子に怒っては罪悪感にかられるというスパイラルで、しまいには夫と離婚、育児休暇が明ける前にノイローゼ状態になってしまったのです。

いかがでしょうか。

仕事を大切にすることはもちろんいいことですが、ライフサイクルに合わせて変化させる柔軟性がなければある時それが崩れてしまいます。

もちろん、一生涯仕事しかしない、というのならそれもありでしょう。

しかし、もし家族を持つのであれば、やはり最終的には重要な他者は家族、親友、親、子ども、配偶者であるべきです。そうでないと、後々に歪がうまれてきます。

職場ではあなたの代わりがいても、家族の代わりには誰もなれないからです。

このサークルに入るあなたの周りの人間関係、もう一度よく見て、歪みが起こりそうなところはないか確認しましょう。

対人関係で陥る自己ストーリーを理解する

愛想付かす女性(画像)

交流分析という心理療法があります。

これを創始したのはエリックバーンという方です。

バーンは、幼いうちから人は自分についての人生脚本を描いているといっています。

そして、それは簡単に以下に要約できると言います。

私はOKである、あなたはOKである

私はOKでない、あなたはOKである

私はOKである、あなたはOKでない

私はOKでない、あなたはOKでない

OK牧場

(図 OK牧場)

私たちが描く人生脚本は、この4つの立場のいずれかに入ると言います。

このいずれかの立場にたって、私たちは幼少期にすでに「こんな人生ヒストリーを歩もう」と決めているのだそうです。

例えば、ある幼児は言葉を自由に操る年齢になる前に、ママとのやりとりで、自分は愛されていないと感じました。

「僕は誰かを愛するというリスクは犯さないぞ。だって、ママは僕を愛してくれなかったから」と思い込み、そのように決めてしまいました。

そして、それを正当化するために、「やっぱり僕は人に愛されない」とか「ほら、愛されようとすると拒絶され傷ついてしまう」というように、あたかも一度決めたヒストリーに沿うように、行動をするのだというのです。

これはイコール「私はOKでない」という立場を早期からとってしまったのです。

「今ある自分はこれまでの過去の積み重ね」とはよく言ったものですが、それが未来を決めるわけではありません。

あなたが切り開いていけるんです

さて、上記の4つの立場のどれに位置しているのかは、普段のあなたの対人関係の在り方を振り返ってみてください。

何か頼みごとをされた時、あなたはどう感じますか?相手によりけり、内容によるかもしれませんが、よく経験するものを選んでください。

そして自分のパターンと似ているものを選択してください。

1.「一緒にがんばろう!」という気持ちになる→私はOKである、あなたはOKである

2.「いつも私だけ嫌な思いをするわ」と不快になったり「どうせ私だけが遅いのよ」などの自己卑下になる→私はOKでない、あなたはOKである

3.「どうしていつも遅れて依頼するの?」と相手を責める気持ちになることが多い→私はOKである、あなたはOKでない

4.「もううんざり。私もお手上げよ」という気持ちになる→私はOKでない、あなたはOKでない

4ついずれかに偏りがあるはずです。

対人関係において、1の立場をとっているあなたは心身的に健康度が高いです。

2では憂鬱になりやすい、3では偏屈的で被害妄想的になりやすい、4では絶望や不毛な立場になりやすいといえます。

常に上記のような対人関係を持ち続けていれば、それほど遠くない時点において心身を害する恐れがあります。

2または3の立場にいる場合、1の健康的な立場に移行するのは比較的たやすいです。

どのようにして移行させるのかというと、自分が陥っているネガティブな立場(私はOKでない、またはあなたはOKでない)に居る時に、意識してそれを変化させるのです。
あなた自身が「私はOKでない」という立場でいるならば、自己肯定できるような思考過程や態度を持つこと、「あなたはOKでない」という立場でいるなら、他者肯定する思考過程や態度に気を配ることです。

言葉は難しいですが実にシンプルです。

「あなたはいま、どの立場で考え、話をしていますか?」

この言葉を意識してみると、自分の立ち位置がわかってくるはずです。

ネガティブな言葉をよく発しているのなら、それを変えてみましょう。

そうすれば、相手も変わってきます。

ぜひ、日ごろから取り入れてみてください。

具体的なコミュニケーションの解決策

三世代家族

さて、それではコミュニケーションにおける具体的な解決策についていくつかご紹介をしていきたいと思います。

人とのコミュニケーションにおいて大切なことは、①きちんと明確な言葉で伝えること、②自分の考えとしてほしいと思っていることを伝えること です。

コミュニケーション場面で困ることっていうのは、たいていの場合、お互いの意見や認識がズレている時ですよね。

妻「子育てを手伝ってほしい」

夫「十分手伝っているじゃないか」

お互いがそれぞれ目線を揃えずに、違う土俵で話をしようとすると、平行線となって、話し合いにはなりませんね。

上の育児の場面でのやりとりで言えば、妻からすれば「そうではなくて・・」となるはずです。

しかし夫には夫の認識が別にあります。

その背景には夫には「育児は母親がやってしかるべきだ」という認識、価値観があるかもしれません。

一方、妻のほうには「同じく仕事もしているんだから、男女とも平等に家事や育児をするべきだ」と思っているのかもしれません。

このズレは、ひも解いてみると、「相手に対して自分がどう期待しているのか」また「相手は自分にどう期待をしているのか?」という点を明確にしていくことで解決する場合があります。

相手に対する期待

(図 期待の明確化)

この場合、夫の期待は「育児は女性がやるもの」と考え、妻は「平等に分けるもの」と考えています。

この根本部分を取り上げない限り、平行線は変わらず、最終的にはぶつかることになりかねません。

では、どのようにして掘り下げればよいのか?

妻は、育児は平等にしたいと思っていることを伝え、してほしいことを具体的に述べてみます。

例えば、「あなたが育児は女性の仕事と考えているのはわかった。でも、私は仕事もしていて育児を完璧にこなすことはできない。もう少し育児を手伝えるように、時間をもってくれないかしら」

と提案します。

多くの場合、不満を述べるのに終始してしまうのですが、自分の価値観(期待)を表明するとともに、何をしてほしいと考えているのかを伝えます

そして更に踏み込んで、より具体的に「週の半分は送迎をしてほしい」「お風呂にいれてあげてほしい」などと伝えるのが良いでしょう。

これによって、相手がそれを実行可能かどうかを考える機会になれます。

もちろん一方的に言うだけではお互いの関係上良くありません。相手の言い分をしっかり聞いて、それが「自分にできることかどうか」を伝えるのです。

先ほどのあなたの人生の立場を振り返ってみましょう。

もし、「私はOKである、あなたはOKである」という立場からお話することができていれば、きっとお互いの考えや価値観、気持ちを尊重して有意義な話し合いができるはずです

しかし、「私はOKである、あなたはOKでない」の場合には夫に対して「どうしてもっと〇〇してくれないの!」と相手を責めたり、攻撃したりしかねません。また「私はOKでない、あなたはOKである」の立場にあると、「いつも私だけが辛い思いをしている・・」とか「やっぱり私には子育てする能力がないのよ」というように自分に対してマイナス思考になってしまいます。

「私はOKでない、あなたはOKでない」の場合であれば、「もう限界!もう無理!耐えられない!」といって話し合いすらできず、すぐに別離することになるでしょう。

お互いの関係を大切にしたいとお考えなのであればぜひ、「私はOKである、あなたはOKである」の立場にたち、お互いを尊重しながら話し合いすることがとても大切です。

また明確に言葉にして伝えることが大切なのは、往々にして日本人は「わかるだろう」と思って全てを伝えようとしません。

それは特にいつも一緒に過ごす家族や親友などの場合にそうです。

「私が大変なのを夫は気づいているはず」「ため息をついている私を見れば、手伝ってほしいことに気づくはず」などのようにです。

しかし、実際にはそれでは相手はわかりません。特に相手が異性であれば尚更、言葉による補完が大切です。

「私はこう思っているのだけど、あなたはどうなの?」

「実は今日疲れがひどいの。皿洗い、朝の分だけでも洗っていてほしいのだけどどうかな」

といったように、ちゃんと伝えましょう。

そうすることで、相手はそれができるのかどうか理解するし、できない時であれば二人でどうすればよいか考えることができます。

そうした話し合いの中では、期待を見直す必要があることもあります。

話し合いをして伝えたとしても、夫が「仕事のため、育児を手伝う時間が十分にとれない」と言うのであれば、あなた自身がその期待を変えていくことが必要です。

例えば、保育園を活用する、シッターを雇う、祖父母に協力を仰ぐ、近所の親戚を頼る・・といった形でしょうか。

してほしいことを他の資源に託せるのかどうか?そして、それでも限界がある場合、夫との関係性に改善がみられない場合には、第三者をいれて話し合いをし、限界設定といって「ここまでになったら、こうしよう」と決めていくことも必要です。

全てが円満にいくとは限りませんから、不満が募り、行き詰まって、離婚に至るケースもあるでしょう。

でも、我慢やあきらめるという方向では新しいものはなかなか生まれづらいです。思い切って離婚をしたからこそ、よりよい人生が始まる場合もあります。

離婚というシナリオが必ずしも不幸になるわけではない、それが最善の策である場合もあるのです。

大切なのは、尊重し、伝え合うことです。

セルフケアして症状の予防をする

足浴(温泉)

うつ病を改善するために、これまであなたは色々な方法を試してきたことだと思います。

先ほどからお話している通り、うつ病を患うまでには、ご自身の考え方の偏り、病前性格、ストレス対処法、対人関係の持ち方など様々な要因が複合的に絡み合っていると思います。

それでは私たちは何もせず、風邪をひいたときのように毎回薬を飲むのでしょうか。

いいえ、できることがたくさんあります。

うつ病の発症に関係し、症状を増強している理由の一つは、あなたの持つ自動思考や抑うつスキーマです

その対処はいろいろあるのですが、より取り組みやすく、副作用が少なく、心身の他の部分にもよりよい作用をもたらす以下の方法をご紹介します。

呼吸法やマインドフルネス瞑想は、私たちの物事のとらえ方や姿勢をより健全なものにします。

首こり解消は、うつ病の身体症状を非常に簡単なやり方で圧倒的な症状改善効果や予防効果を感じることができます。

最後に、パワーオブコントロールとは、セルフケアを始めて、自分自身の手に「力・power」を取り戻すことの大切さをお話したいと思います。

これらはすべて、対症療法的ではなく、うつ病の解決につながる方法、つまり何度もお薬で抑えては再発を繰り返していたものを、再発をさせないようにする最善の方法と言えます。

呼吸法

呼吸法

呼吸とは、私たちが生きるために必要な活動であることは誰もが分かっています。

私たちは呼吸をすることで身体の中にある要らなくなった二酸化炭素を排出し、酸素を取り込みます。

この活動は、心臓などほかの生命維持活動を行う臓器と同じく、私たちが起きている間も、寝ている間も続きます。

しかし他の臓器と決定的に違うことは、心臓は自分の意思で動かすことは出来ませんが、呼吸はゆっくり呼吸したり、早めたりすることができます。

つまり、呼吸は意識してコントロールすることが唯一可能な生命維持活動なのです。

そして呼吸は自分の精神状態も反映します。

悩んでいるときはため息が出るし、悲しくて泣いているときには呼吸も乱れます。

気持ちが落ち込んでいるとき、不安を抱えているとき、呼吸は浅く、息苦しくなります。

この呼吸は、過去をさかのぼること古代ギリシャ神話の時代「プシュケー」と呼ばれていました

そしてプシュケーという言葉は、「心」「魂」も意味していました。

心の状態を反映するこの呼吸の活動が心そのものであると理解されていた過去があるのです。

その証拠に、心理学は英訳するとPsychologyですが、psychoの語源はこのプシュケーになります。

このように、呼吸は私たちの心理に密接に関わっていて、実際に私たちの目で見ることができ、コントロールできる活動なのです。

この呼吸を整える方法を身につけることで、私たちは精神状態をもコントロールできるのです。

その具体的な方法とは、マインドフルネス瞑想で身につけることができます。

マインドフルネス瞑想法

ピラミッド

マインドフルネス瞑想法とは、簡単に言うと注意集中のトレーニングになります。

注意集中している自分をあたかも実況中継しているように観察し続けるのです。

姿勢としては、座禅を組んだり、横になった状態で、呼吸に注意を集中し続けます。

呼吸を吸ったり、吐いたりをゆっくり、何度も繰り返し、その呼吸が流れている様を観察し続けます。

観察とは、鼻や喉のとおりに注意を向けて、空気が流れていることを感じることです。

「あ、今鼻の奥から肺へ流れていった」「横隔膜が上がっている」といったことを感じるのです。

そしてその間、雑念が頭の中に流れてきても、それをそのままにして、とらわれないようにするのです。

こんな簡単な事、誰でもできるよ

と思われたあなたは、まず15分、実践してみてください。

例えば、「今日の夕飯何にしようかな」

「子供たちは今頃何しているかな」

「首の痛みが気になる・・」

いろいろな雑念、考えが沸き起こってくるはずです。

その考えを追わずにいてください。

最初はすごく難しいことがわかると思います。

マインドフルネス瞑想法で非常にユニークなものとしては、「食べる瞑想」があります。

食べる瞑想とは、例えばレーズン、麦チョコなどを一粒とって、まずよく観察し、においを嗅ぐのです。

そして手でレーズンを運ぶ瞬間、それとともに唾が口の中をいきわたるのをじっくりと感じます。

唇にレーズンを運び、唇にのせ、ゆっくり噛み砕いていきます。

そして、飲み込む瞬間もじっくりと口の中や食道を通る感触を確かめます。

こんな風にして、食べることはめったにありませんよね。

食べることについても、私たちは自動操縦されているために、じっくり感じたり味わったりすることがありませんので

非常に新鮮に感じると思います。

私も、マインドフルネスの実習に参加した際には、(レーズンではありませんでしたが)新鮮な気持ちになりました。

この食べる瞑想もそうですが、マインドフルネス瞑想では、「いまここ」に注意を集中していく作業をします。

呼吸に意識を向けることは、まさに今起きていることに注目することになり、未来のことや過去のことなどを

自動的に思い煩ってしまう自分に気づかれると思います。

呼吸に注意を集中すると、いろいろな雑念が浮かんでは消え、浮かんでは消え、、という様子に気づかれたら

自然と湧き上がる考えや感情をまるで雲を眺めているように観察し続けることで過去や未来への不安にとらわれることがなくなっていきます。

不安や落ち込み、恐れ、イライラなどの感情に圧倒されることがなくなるのです。

認知療法で言えば、瞑想中に自然に沸き起こっている観念が自動思考なのですから、それを雲を眺めるように観察する、つまり執着もせず囚われもせずにいるということが自然にうつ病を軽減させることになります。

首こりを解消する

首凝り

様々な心身の症状に対して首へのケアが大切だ!と歌っているのは、最近よくメディアに出演していらっしゃる整形外科医の山田朱織医先生。

山田先生は、様々な著書で首コリまたは首の姿勢を良くすれば、様々な体調が良くなるとおっしゃっています。

首の姿勢の悪さと関係する症状が以下のように挙げられています。

慢性的な頭痛

目の奥の痛み

歯の痛み。歯ぎしり

顎の痛み

前胸部の張りや痛み

猫背

手の指先に力が入らない

朝起きた時、疲れが取れない

いびきで悩んでいる

めまいや立ちくらみに襲われる

プチうつのような症状

頭や顔などの首の上で起こる症状にも、胸や背中など首の下で起こる症状にも、倦怠感など全身で感じる症状にも、そしてプチうつといった心の病にも、首姿勢の悪さは影響を及ぼしているのです。

(引用:山田朱織 2013 首こりは3秒で治る! フォレスト出版)

とあります。

約5キロ程もする重い頭を支える首は、負担は非常に大きく、首こりを解消するためのケアは大切であると仰っていますが、それは確かに頷けますね。

2足歩行する人間は、首によってバランスを保っているわけですから。

パニック障害も自律神経失調症もうつ病もみな、自律神経の乱れが原因で、日常生活に支障が起きています。

自律神経症状さえ対処できれば、困っている症状はほぼうまく解消されていきます。(ただし、根本的な心理的な問題はその次に対応することになります。)

自律神経は解剖学的にも理解が進み、視床下部で指令で出ていること、中枢系から末梢系にいたるまで各臓器へ神経は張り巡らされています。

そして、交感神経によって活動性が維持され、副交感神経によって身体の休息が促進されます。

起きて活動している時は交感神経が働き、夜眠る時間になると副交感神経が働くことで、効率的に身体が機能しているんです。

人体ってよくできてる!って思いますよね。

あなたも不眠で悩まれたことはあるのではないでしょうか。

自律神経の乱れで一番わかりやすいのは不眠です。

ストレスを感じると、多くは不眠(時に過眠もあります)を訴えます。

「家族のことをいろいろと考えて眠れなくなっている」

「家の借金のことで頭がいっぱい」

「彼氏に振られてしまった・・」

「仕事で抱えているプロジェクトが大きくて常に安心して眠れない」

「医師からがんかもしれないと言われ、その結果が出るまで眠れない日々だった」

などなど、個人によって様々な悩みがありますが理由が、それらの心理的圧迫が影響して、身体症状に発展していくわけです。

自律神経は、ストレスが多い現代社会では鍛えたり、ケアをしていく必要が出てくるわけなのですね。

自律神経を整える良い方法には何があるのか

自律神経を整える方法には何があるのか?

多くの患者さんたちは背景に心理的な問題があると指摘を受けたとしても、「心理的問題についてどうにかしたい」というより、「身体症状をまず和らげたい」と思っています。

今まさに困っていることは、「からだの症状」であって、「背景の心理的問題」ではないからです。

もちろん、のちのち背景の心理的問題へ取り組むことになりますが、それは生活上の安全、安定が得られて初めてできることです。

これを読んでくださっているあなたも同じだと思います。

カウンセラーや医師に、心理的問題について取り組むように言われても、「まずは生活しなきゃ」「仕事しなきゃ」「痛みをとらなきゃ」と思っているはずです。

金本博明氏の「自律神経失調症・パニック障害改善プログラム」は、継続もしやすく取り組みやすい、自律神経を整えるのに高い効果を発揮してくれるプログラムだと思います。

運動を取り入れる

ウォーキング

うつ病の治療に、有酸素運動を取り入れるのはメジャーになってきています。

以下は、その効果について取りまとめた文献の要約部分になっています。

運動の不安軽減効果及びうつ軽減効果について、先行研究を精査して再検討した結果、以下のような要約を得た。

(1)運動は小から中等度の不安軽減効果があり、他の精神療法等と同等の効果がある。

(2)運動は中等度のうつ軽減効果があり、他の精神療法などと同等の効果がある。

(3)不安軽減を引き出す運動の種類は、有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、ランニング等)と非有酸素運動(レジスタンス/ウエイト・トレーニング等)である。それらの運動強度・時間・頻度・期間は、50%~70%HRMax・30分以上・3回/週・8週間以上 である。

(4)うつ軽減を引き出す運動の種類は、有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、ランニング等)と非有酸素運動(レジスタンス/ウエイト・トレーニングなどである。それらの運動強度・時間・頻度・期間は、50~70%HRMax・30分以上・3回/週・8週間以上 である。

(5)運動の不安軽減効果とうつ軽減効果は、一過性の運動、継続的な運動、両性、各種年齢集団に当てはまる。

(6)運動は不安及びうつを増悪させない。

(引用:青木邦男 2002 運動の不安軽減効果及びうつ軽減効果に関する文献研究 山口県立大学大学院論集 第3号 p37-45)

とあり、青木先生のまとめによれば、週に3回、30分以上の運動(有酸素運動や非有酸素運動)を取り入れることで、うつ症状を軽減できると言っています。

ただし、重度なうつ状態では推奨されていないこと、オーバートレーニングや過労、不注意などによる外傷や障害に注意が必要です。

パワーオブコントロールするには

手と光

これまで、うつ病の原因や治療について、セルフケアについてなどご紹介してきました。

私が話した通りに一つ一つ丁寧に対応していけば、この病気は克服されるでしょう。

しかし、さらに一番大切なことがあります。

それは、お薬や病院に行くことや誰かに相談すること、適切な方法で対処すること以上に、重要なものです。

それは、うつ病は克服できるという自分の信念です。

どうせこれまで直らなかったし、何をやっても無理だろう。

ずっと悩まされてきた、だから今回も治るはずがない。

という気持ちでいれば、それはすなわちコントロールすることを放棄し、舵取りを障害に委ねてしまっていることになります。

そうすれば、自ずと良くなるものも決して良くはならないのです。

まずは、パワーをこちら側へもどしましょう。

そうすれば、決戦は近いでしょう。

「自分で治すんだ!」「良くするんだ!」という強い気持ちは、何よりも効果的なオクスリだと私は思います。

心身の調子がひどく悪い時に

落胆する男性

うつ病の症状を和らげる方法や、予防する方法というのは、お互いの人間関係を見直しストレスを減らすことや、自分の物事のとらえ方を確認してポジティブなものに変えることなどによって時間をかけて効果を発揮していくものだと思います。

それは、ある程度症状が安定している状況で取り組めるものだと思いますから、心身の調子が悪い、痛みが強い、倦怠感が強いなどの場合には、そのような悠長なことは言っていられませんね。

このような緊急対応時にはどうすればよいでしょうか。

まず何よりも大切なことは、休養をとることです。

まずは3日の休養をとっても心身の調子が回復しないのであれば対応に工夫が必要になります。

アロマオイルを利用する

アロマオイル

アロマオイルは長い歴史があり、現在でもイギリスなどの海外の医療現場では補完代替療法として十分に力を発揮しています。

そしてアロマオイルには様々な種類があります。

自律神経に働きかけ、元気を与えてくれる

リラックスを促進し、緊張や不安を和らげる

不眠に効果がある

肩こりや頭痛などに効く

皮膚のトラブルに効く

空気を綺麗にして感染症対策とする

いろいろな効能があるので、選ぶのが大変だと思います。

うつ病による症状に対しては、交感神経が亢進して疲労や消耗の状態にあると考えられますので、リラックス、緊張や不安を和らげる効能のあるアロマを選ぶと良いでしょう。

元気になるタイプのアロマは疲労回復後に主に使用できると良いと思います。

また、抑うつ気分を改善するオイルもあります。選び方としては、自分が好きだと思える香を選ぶのが良いといいます。

ぜひ、ためしてみてください。

ツボを刺激する

鍼灸

東洋医学には、経絡とツボという考え方があります。

経絡とは、身体のなかをめぐる気や血の通路のことを指しています。

血とは、血液と似ていますが、それとは違っているのですね。

気や血を、身体の各臓器(五臓六腑)、皮膚や筋肉へと繋げる役割を担っています。

気や血は、流れが悪かったり、滞ったりする性質があるようです。

ですから、その滞った場所では臓器の不調が起こるとされています。

しかし、臓器へ触れることはできませんから、経絡を通じてその臓器につながる身体の表面部分を刺激することで治療をするのがつぼ療法です。

経絡・ツボを通して、身体のバランスが悪くなっているところを調整していきます。

臓器とツボとのつながりを理解するためには、経脈について知る必要があります。

経脈とは、身体の縦方向に伸びているもので経絡の仲間になります。

経絡は12本あって、それぞれ手足の指などの末端とつながり全身をつなげています。

正経一二経脈

手の太陰肺経

手の陽明大腸経

足の陽明胃経

足の太陰脾経

手の少陰心経

手の太陽小腸経

足の太陽膀胱経

足の少陰腎経

手の厥陰心包経

手の少陽三焦経

足の少陽胆経

足の厥陰肝経

経脈の名称について

(図 経脈の名称について)

経脈のすぐ上にある皮膚に刺激を与えると、その刺激は経脈に伝わり、それぞれの臓器へ到達していきます。

ツボとは、この経脈が通っているポイントを意味しています。

そこを押したり、お灸をすえたり、鍼を指すことで、ツボを通じて経脈を刺激して、その奥にある臓器に届くというわけです。

例えば、足首とすねの間にある「三陰交」というツボを刺激します。

そこは、3つの経脈が交わっている部分と言われ、特に生理不順や生理痛など婦人科系の症状に効果を発揮します。

このように、身体の表面を刺激することで、身体の奥にある臓器の不調を改善することができます。

実際にうつ病でお悩みの場合、ツボはどこを刺激すればよいのか?

うつ病には不眠を伴うことが多いと言われています。

不眠に良いと言われるツボをお伝えしたいと思います。

かかとの真ん中にある「失眠(しつみん)」

耳の後ろの出っ張った骨の一寸下にある「安眠(あんみん)」

両方とも、眠りに関係しそうな名前ですよね。

安眠のツボを刺激するとリラックス効果が高いと言われています。

ここは、心身の疲労をとる、リラックスをするためにも良い効果があり、恐らく「気」を作るためのベースができるのだと思います。

疲れた時や、寝不足のとき、疲労回復したいときにはぜひ奇穴(安眠)を刺激してみてください。

また、「百会(ひゃくえ)」は両耳を結ぶ線と身体の中央を走る線をちょうど交差させた場所にありますが、ここも安眠の効果があると言われてます。

終わりに

ひまわり

このような長い記事を最後まで読んでくださってありがとうございます。

あなたの症状が和らぎ、少しでも自己実現のできる人生を進められますようにお手伝いができれば嬉しく思います。

記事にあるように一つ一つ丁寧に対応していけば、きっと症状は解決するはずです。ぜひ、実践してみてくださいね。

 

今回の記事はお役にたてましたでしょうか?

もし、今回の記事を読んで感想や分からない事などありましたら、下記のフォームより私にお伝え下さい。

些細な事でも構いません。

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そういった疑問を1つ1つ解決していきます。

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